中小企業にとってのマイナンバー制度とは? (76 … – BIGLOBEニュース – BIGLOBEニュース

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総務省及び内閣府は、11月2日マイナンバーを利用して行政機関の間で情報をやりとりする「情報連携」について、11月13日から本格的な運用を開始することを発表しました。そして、この時点で「情報連携」に加わることができない日本年金機構についても、11月10日の閣議で「情報連携」を可能とする政令が閣議決定され、来年1月から稼働テストを実
施、3月から「情報連携」に加わることになりました。

今回は、この「情報連携」の本格運用開始により、何が変わっていくのか、みていきましょう。

○「情報連携」で何が便利になるのか

野田総務大臣は11月2日の記者会見で、この「情報連携」に関して、「情報連携というと堅苦しく聞こえるんですけれども、要は国民利用者が、数でいうところ、現在までに853の手続き、紙媒体が不用となるという、非常に利用者にとっては利便性の高い運用が始まっていくということを、是非強くお伝えしたいなと思っています。」と語っています。

では、どのような仕組みで、どのような手続きにおいて「紙媒体が不用」になるのでしょうか。

(図1)は『マイナンバー制度における「情報連携」及び「マイナポータル」の本格運用等開始』を発表した総務省のホームページで、「情報連携」により、各種手続の際に住民が行政機関等に提出する書類(住民票の写し、課税証明書等)を省略可能とする例を示したものです。

この図のうち、「地方税関係情報」で示されているのは、所得要件の審査が必要となる、児童手当の支給に関する事務や介護保険料の減免の申請に関する事務などで課税証明書等の証明書類が不要になるケースです。また「住民票関係情報」で示されているのは、世帯が同一かどうかの審査が必要となる、児童扶養手当の支給に関する事務や健康保険給付の支給に関する事務で、住民票の写しが不要になるケースです。

ただし、これらの手続きで、この図のように異なる市区町村間で、課税証明書や住民票がやり取りされることにより課税証明書や住民票の写しが不要となるのは、住民が引っ越したようなケースだと考えられます。通常は、同一市区町村内で手続きが完結するケースが多いと思われますが、そのようなケースは、市区町村内の「情報連携」で課税証明書や住民票の写しが不要となります。

この「情報連携」と同じく11月13日から本格稼働となる「マイナポータル」では、電子申請機能として「ぴったりサービス」というサービスが用意され、まず「子育て分野」の申請ができるようになっています。この「ぴったりサービス」という電子申請機能には、今後「引っ越し」などの機能も用意される予定になっており、引っ越しに際して「情報連携」を活用して、上記のようなこれまで必要だった提出書類を不要にする仕組みと合わせて、引っ越し時に必要となる行政手続きが、「マイナポータル」で、ワンストップで電子申請できるようになると、より便利になると考えられますが、こうしたサービスの提供時期は、まだ先になるようです。

(図1)の「他の社会保障給付に関する情報」で示されている事例については、日本年金機構が本格的に「情報連携」できるようになる来年3月以降にならないと実現しませんが、ここまでくると、より広範囲な手続きで、手続き上必要となる書類の省略が可能になってきます。

(図2)は「マイナンバー制度の情報連携に伴い省略可能な主な書類の例」を示したものです。

これをみてみると、一部書類の省略が、平成30年7月以降になるものがあったり、「個別の事務手続の際には、各地方公共団体・行政機関のパンフレット・ホームページ等を必ずご確認ください」とされていたりしています。これらの注意書きからは、現時点で、一部の手続きや地方公共団体によって、「情報連携」による書類の省略ができないケースもあることを示していると考えられます。

これらの書類をみていくと、「情報連携」によって、各種手続きで書類の省略が可能となることは、手続きを行う必要のある住民にとって便利になることではありますが、全ての住民が便利さを享受できるようになるには、まだまだ時間がかかりそうな印象を持たざるをえません。

また、ここで取り上げた「情報連携」による各種手続きで書類が省略できるケースは、個人の行う手続きに限定されています。

マイナンバー制度では、法人に対しても法人番号が付番され、法人番号をキーに行政機関間で「情報連携」していけば、法人が行う行政手続きにおいて、個人同様に省略可能となる書類はあるはずです。法人設立や異動時の各種届出を統一してワンストップで済むようにすることなど、国の機関と市区町村などが情報連携して行えるように計画されています。マイナンバーによる情報連携は、マイナンバーが特定個人情報であることから、セキュリティを担保してシステム構築する必要があり、ここまで時間がかかってしまいましたが、法人番号がオープンな番号であることを考えると、法人関連の手続きの簡略化やワンストッブ化は、もっとスピーディに進められると考えられます。マイナンバー制度で、マイナンバーの収集や管理で負荷を負う事業者に、制度の利便性を実感できるような施策の早めの実行が望まれるのではないでしょうか。

○「情報連携」で始まる行政側のマイナンバー利用

前項でみてきたのは、マイナンバー制度のメリットの一つとして挙げられている「国民の利便性の向上」に、「情報連携」が寄与する部分です。

一方、この「情報連携」は、行政側がマイナンバーを本格的に利用する、そのスタートともいえます。マイナンバー制度のメリットとして挙げられている「公平・公正な社会の実現」については、次のように説明されてきました。「所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行うことができます。」(内閣府ホームページより)

ここで述べられている「負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止する」動きが、この「情報連携」によって出てきています。

日本経済新聞の11月12日朝刊に「マイナンバー情報連携稼働 何が変わる?」の見出しで記事が掲載されています。この記事の中に、以下のような記述があります。

「総務省によると、7月に始まった試行運用では11月1日までに70万件のやりとりがあった。照会件数が最も多いのは課税証明書など地方税課税情報で41万件。次が医療保険資格関連情報で12万件。住民票など住民基本台帳関連情報が続いて2万件弱だった。やりとりを目的別にみると、43%は扶養控除見直しなど地方税の賦課・徴収だった。遠隔地の大学に通う子どもがアルバイトをしていたり、単身赴任中に配偶者が働いていたりした場合、扶養控除の限度を超えた所得がないか確かめようと、課税証明書を関係自治体に照会するためだ。」

7月に始まった「情報連携」の試行開始以降、個人が行う手続きで書類省略のために照会されたものもあるのでしょうが、「43%は扶養控除見直しなど地方税の賦課・徴収だった。」とされている照会は、あくまで市区町村間で行われたものと考えられます。今年1月に市区町村に提出された給与支払報告書から、本人及び扶養親族のマイナンバーも記載して提出されており、このマイナンバーをキーに、市区町村間で連携して扶養情報のチェックが行われ、記事にあるように「遠隔地の大学に通う子どもがアルバイトをしていたり、単身赴任中に配偶者が働いていたりした場合、扶養控除の限度を超えた所得がないか確かめよう」とする照会が行われ、そうした事例が見つかった場合は、扶養控除の見直しによる地方税の賦課・徴収が給与所得者に通知されているということです。これらの事例は、給与所得者が意図的に「不当に負担を免れよう」としたわけではなく、確認不足程度のことだと思われますが、「公平・公正な社会の実現」を目指す行政側でのマイナンバーの利用が具体化した事例ということができます。

(図3)は、会計検査院の「国の行政機関等における社会保障・税番号制度の導入に係る情報システムの整備等の状況について」の資料に掲載された「マイナンバー制度における情報連携等の概要」です。

市区町村間は(図3) の右下にある既存システム(住民基本台帳ネットワーク)により、もともとネットワークされていましたが、給与支払報告書に給与所得者や扶養親族のマイナンバーが記載されたこと、マイナンバーをキーとした情報連携が開始され、これまでよりもスムーズに扶養情報の照会が行えたのだと考えられます。

「情報連携」のネットワークには、(図3) の通り、国の行政機関なども入っていますので、扶養控除の見直しに至ったような事例について、「情報連携」により国税庁が照会して情報を入手することも可能です。そうなると、扶養控除の見直しから、地方税のみでなく国税についても賦課・徴収が行われる事態が想定されます。

「不当に負担を免れる」事例として、誤った扶養控除により税の負担を結果的に軽減したような事例は、一件一件は軽微な例とは思いますが、こうした例も見逃さない体制がマイナンバー制度における「情報連携」だということができます。

マイナンバーをキーとした行政機関間の「情報連携」の本格稼働によって、マイナンバー制度の目指す「公平・公正な社会の実現」に向けて、行政機関での本格的なマイナンバーの利用が始まったといえます。「情報連携」により、各種手続きで書類の省略が可能となることにより、「国民の利便性の向上」の実現が見えてきた感はありますが、多くの国民が利便性を実感できるようになるまでは、まだまだ時間がかかりそうです。むしろ、「情報連携」により、行政機関の本格的なマイナンバーの利用が始まり、「公平・公正な社会の実現」に向けて、「負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止する」動きが、今後徐々に顕在化していくと考えられますので、その点にも注目していきたいと思います。

中尾 健一(なかおけんいち)
アカウンティング・サース・ジャパン株式会社 取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。




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