為替ヘッジ削減こそが外債リスク抑制のこつ-2兆ドル運用のSSGA – ブルームバーグ

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外国債券に活路を求める日本の投資家を悩ませる為替差損リスク。運用資産が円換算で200兆円を超えるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)は、為替変動からの損失を回避するためのヘッジ取引をむしろ適度に減らすことこそが解決策になると説く。

  SSGAで日本の資産配分の統括責任者を務める新原謙介氏は、「債券投資家にとって米債の魅力は利回りの観点で以前より明らかに良い」と指摘。米債の新たな購入や多額の残高をすでに抱えている場合には「為替ヘッジ比率を少し下げてある程度の為替リスクを一緒に取ることで、金利が上がって米債が値下がりした時にドル・円相場の上昇がクッションとして機能する」と言う。

  ブルームバーグの試算では、為替ヘッジ後の米10年物国債利回りは昨年7月に初めてゼロ%を割り込んだが、足元では0.55%前後に回復している。財務省の統計によれば、国内勢は海外の中長期債を昨年12月からの5カ月間で8兆7623億円売り越し、特に4月は4兆2559億円とデータでさかのぼれる2005年以降で最大を記録した。ただ、先月は27日までに3兆6961億円買い越し、残高復元の行方が注目を集めている。

  例えば「ドル・円のヘッジをフルではなく80%にして米債に投資する。ストラクチャーは単純だが、ストーリーとしてはきれいに通る」。新原氏は1日のインタビューでこう述べ、「ボラティリティだけで単純に比較すると、米10年物国債を100持っているなら、為替リスクを20くらい取るとバランスが良くなる。リスク抑制の分散効果が見込める。為替リスクを少し持つことの意義は明確に戦略的にある」と語った。

  米10年物国債利回りは大統領選でのトランプ氏勝利を受けた米経済・インフレ加速の観測を背景に、昨年11月上旬の1.71%から1カ月余りで2.64%に上昇した。ドル・円相場は同時期に1ドル=101円台から119円近くまで円安に進んだ。足元では米国の景気刺激策の実現可能性に対する疑念から、10年債利回りは2.1%台と大統領選直後の水準に低下、円は109円台前半と4月に付けた11月中旬以来の高値に近づいている。

  新原氏は「ヘッジ外債の需要は日本で際立っている。投資環境としてそれ以外にできることがないからだ」と指摘。欧州の投資家も域内の利回りはやや低いが、金融商品の契約者に対する「負債とのマッチングが義務付けられている例が多いので、外へ行くインセンティブが日本より制度的には小さい」と言う。半面、「日本の金融政策は世界的に金利平準化の影響を及ぼしており、米金利が一方的に上がり切らない一つの明確な理由だ」と話した。

  SSGAの運用資産のうち20兆-30兆円相当は、新興国を含む世界中の株式と債券、コモディティという伝統的で流動性のある資産を対象にした「マルチアセット」運用だ。プライベートエクイティ(PE)やヘッジファンドといった短期的な期待収益率の把握が難しいオルタナティブ(代替資産)は基本的には含まない。同社は3カ月先までの予測を立て、毎月見直している。

マルチアセット運用

  新原氏は、マルチアセット運用では「依然として成長志向やリフレといったテーマに近いポジションを維持している」と説明。「過度な楽観論や今後の成長経路に対する警戒感はある」が、昨年10-12月期からオーバーウエートにしている「株式など成長関連資産を今すぐ減らすべきだといった推奨はしていない」と語った。

  ただ、米国の政策実現性に対する疑念や出遅れていた日欧経済の回復、金融政策の方向性、欧州政治リスクの後退などを踏まえ、昨年は多く持っていた米株のウエートを今年に入って欧州と日本に一部移していると言う。米経済指標を巡るアップサイドのサプライズが減り、日欧の方が水準というより方向性として強めに出て来ている」とみているからだ。

  経済指標が市場予想をどの程度乖離(かいり)したかを示す米シティグループの経済サプライズ指数は、米国が3月中旬に付けた14年1月以来の高水準57.9から足元でマイナス44.7と昨年2月以来の水準に低下した。ユーロ圏は40-70程度の高さで一進一退。日本は3月下旬にマイナス34と昨年4月以来の水準に下げたが、足元では35.4と半年ぶりの水準に戻している。



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