2018年日本の不動産はズバリこうなる(前編)|ニフティニュース – ニフティニュース

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 2017年の不動産マーケットは実に好調だった。

 地価は上昇が顕著になってきた。銀座の山野楽器の公示地価は平方メートルあたりで5000万円を超え、平成バブル期以上の水準になった。地価の上昇は東京、大阪、名古屋の三大都市圏のみならず、地方四市といわれる札幌、仙台、広島、福岡といった都市にも波及し、住宅地では仙台市が対前年比で10%以上の上昇、商業地でも福岡市が20%以上の上昇を記録する地域が出るなど、絶好調だった。

 地価が上昇すれば投資としての妙味が生まれる。「買って売れば」儲かるからだ。都市未来総合研究所によれば、2017年度上期の不動産取引額は1兆8213億円と前年度同期比で18.5%もの伸びを示した。

■首都圏の新築マンションの平均価格は約6000万円

 都心では数多くのクレーンが所狭しと立ち並び、超高層オフィスビルの建設ラッシュが続く。「都心居住」の掛け声のもと都心部のマンションの値段は急上昇。2017年度上期首都圏(1都3県)で供給されたマンションの平均価格は5992万円と前年度同期比5.8%も値上がりし、もはや庶民にはマンションは買えないレベルとまで揶揄されるようになった。

 都心部でオフィスと覇を競うように建設ラッシュとなっているのが、ホテルだ。インバウンド(訪日外国人)の需要増を当て込んだホテル業界には、他業態からの新規参入も陸続として大変な活況となっている。

 さて、こうした流れを受けて2018年の日本の不動産はどうなるのだろうか。2回にわたって解説を試みることとしよう。前編ではこうした好況がいよいよ「宴たけなわ」に向かっていく前提で生じるお祭り現象を、そして後編では「宴の終わり」がやってくるとすればどんなタイミングなのか、そのドン引きのさまを大胆に予測してみよう。

■2018年、日本の不動産投資マーケットに「巨人」登場

 前編の今回、2018年日本の不動産を次のように予測する。

1.国家が支える官製不動産マーケット
2.セミプロ投資家の急増
3.ブランドマンション、ブランドビル時代の到来
4.猛威を振るうインバウンドマネー
5.新しい不動産メニューの勃興

 2018年、いよいよ日本の不動産投資マーケットに「巨大な買手」がやってくる。その名は年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)、運用資金総額156兆円の「化け物投資家」である。GPIFは厚生労働省の所轄法人であり、厚生年金と国民年金の運用を司っている。2014年10月第二次安倍政権において、GPIFは運用構成が変更され、これまでの国内債券を中心とした運用から一定のリスク資産にも投資できるように改定された。具体的には国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%が新しい運用割合となったのだ。

■GPIFが不動産投資を行える「カラクリ」

 一見するとGPIFが不動産投資を行うのは不可能なように見えるが、実はカラクリがある。同改正では、運用体制の整備に伴って、オルタナティブ資産に対する投資をリスクリターン体制に応じて資産全体の5%まで認められるようになったのだ。オルタナティブ資産とは(1)インフラストラクチャ―、(2)プライベート・エクイティ(未上場株式など)、(3)不動産という定義になっている。簡単にいえば、これらの対象に上記の債券や株式という「カタチ」を通じてであれば投資が可能となったのだ。

 2017年12月19日GPIFは不動産投資の運用機関として三菱UFJ信託銀行を選定した。同行が組成する不動産投資ファンドを通じて国内不動産への投資を本格的に実行する体制が整ったことになる。156兆円の5%といったら7.8兆円。すべてが不動産投資に回るわけではないが、発足して16年になる国内REITマーケットの資産規模が約15兆円であるからそのインパクトは絶大である。

 国はすでにREITに対してもマーケットでは日銀を通じて一定額を買い支えているが、不動産マーケットに公的資金を注入することで不動産マーケットを支える構図が出来上がることとなる。であるならば、個人にとっても不動産は「安全な」投資資産ということになる。買いまくるGPIFやREITの後ろからついていけばよいからだ。不動産がよくわからない個人であっても国が支えてくれるマーケットなら安心、安全だ。

働き方改革でセミプロの個人不動産投資家が台頭

 働き方改革でどうやら「副業」も幅広く認められる方向である。不動産投資は今やネットを利用すれば、個人でも多くの情報を居ながらにして得ることができる。2018年は残業がなくなった自由時間を利用して「小金」を不動産に振り向ける個人が急増し、「セミプロ」と呼ばれるような個人不動産投資家が台頭することだろう。

 いっぽうで法人でも個人でも良くも悪くも「格差」社会の到来と言われている。富める者はますます富み栄え、貧する者はどん底におちていく、そんな中でオフィスビルやマンションでは究極の「ブランド化」の時代を迎えるだろう。

 今後2020年までに都心部を中心に建設が予定されている多くのオフィスビルは都心5区に立地し、しかもワンフロアの面積が数百坪から1000坪を超える巨大航空母艦のような建物だ。当然賃料も高い。こうした物件は大手デベロッパーのような大企業でしか建設できないし、入居できるテナントは大企業オンリーとなる。都心居住が進む中、都心部のタワマンに住めるのはもちろん一定の高額所得層のみとなる。大企業も個人富裕層も無類の「ブランド好き」だ。ブランドビル、ブランドマンションが「とんでもない価格」で取引される年となってくることだろう。

■インバウンドが3000万人の大台を超える

 インバウンドは2018年ついに3000万人の大台を超えるはずだ。人数ばかりが注目されるが、実は彼らが持つマネーは日本で猛威を振るっている。インバウンドマネーはすでに北海道のニセコや長野の軽井沢などでは、日本人には信じられないような価格で取引が行われ、外国人だけの独自の不動産マーケットを形成しつつある。インバウンドマネーは東京、大阪のマンションやアパート、そして地方都市へと拡散している。不動産屋は儲かって仕方がないのである。かつてパリに「爆買い」ツアーをする日本人をパリっ子たちはしかめ面で眺めたものだが、彼らの懐を潤すことになった。同じことが日本でも生じているのだ。2018年も不動産マーケットはインバウンドマネーの恩恵に大いにあずかることになるだろう。

 インバウンド対象ビジネスとしては2018年6月には住宅宿泊事業法が施行される。ようやくルール化される民泊はこれまでの違法民泊を駆逐する一方で、大量の新規供給を促すこととなる。空き家の活用、空室に悩むアパートオーナーにも民泊活用は朗報だ。民泊元年は民泊が新しい不動産ビジネスとして開花する年になるだろう。

 2018年日本の不動産は「まことに絶好調だ」と能天気に考えたくなるような材料で溢れている。「バブルはまだまだこれから」とニンマリ顔の不動産屋が「宴たけなわ」マーケットを闊歩するのが2018年なのである。

※ 「後編 それは意外に早くやってくる……『宴の終わり』のシナリオ」 に続く

(牧野 知弘)




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