コラム:東芝の半導体子会社売却、問題解決は道半ば – ロイター

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[香港 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 東芝(6502.T)は半導体子会社「東芝メモリ(TMC)」の全株式を米系投資ファンドのべインキャピタルが主導する「日米韓連合」に譲渡することで合意し、28日にやっと契約調印にこぎ着けた。

調印に至るまでの数カ月は情報のリークが相次ぎ、合意がまとまりかけては流れ、さらには合弁相手である米ウエスタン・デジタル(WD)から訴訟を起こされるなど、波乱続きだった。来年3月までに手続きが完了すれば、東芝は「2期連続の債務超過で株式上場廃止」という東京証券取引所の規定適用を免れる。

今回の案件は表向きは、ベイン率いるコンソーシアムによるレバレッジドバイアウト(LBO、買収先の資産などを担保に金融機関から融資などを受けて買収資金を調達する手法)だ。しかし、この単純な図柄の裏には面妖な仕組みが隠されている。

第1に、政治的な理由からTMCは売却後も日本勢が経営権を握る必要があった。そのため東芝とHOYA(7741.T)が議決権の過半数を取得する。ベインやそのパートナーがTMCの経営を操る力は削がれるだろう。

第2に、今回の案件ではアップル(AAPL.O)やデルなどTMCの顧客やライバル企業がコンソーシアムに加わり、資金を拠出する。韓国のSKハイニックス(000660.KS)は、転換社債やベインへの投資を通じて3950億円もの資金を出す。

東芝はスマートフォンで使われるNAND型フラッシュメモリーの分野では数少ない大手メーカーの1つで、東芝の経営状態は顧客やライバルすべてにとって重要だ。ただ、顧客や競合相手が加わったことは、とりあえず独占禁止当局の懸念は呼ばないとしても、商業的な面でTMCの手を縛るかもしれない。

第3に、今回の案件はWDが売却差し止めの訴訟を起こす中で手続きが進む。東芝は、WDと共同運営するフラッシュメモリーの合弁事業3件での持ち分を売却できなければ、最終的な譲渡価格が変わるだけだと説明し、WDとの係争は重大ではないとの姿勢を示している。そうかもしれない。しかし、期限がこれほど切迫していなければ、売り手も買い手もこうした厄介な問題を棚上げしたとは考え難い。

さらに28日には、関係者の合意が得られなかったとして、ベインが記者会見をキャンセルするというおまけまで付いた。スマートカルマのアナリストのトラビス・ランディー氏は、東芝は上場廃止を回避するためにまだ増資が必要になるかもしれないとの見方だ。先進の半導体を生産するハイテク技術並みの技法で合意をまとめ上げたものの、東芝の問題はまだ片付いたとは言えない。

●背景となるニュース

*東芝は28日、半導体子会社「東芝メモリ(TMC)」の全株式を米系投資ファンドのべインキャピタルが主導する「日米韓連合」に譲渡する契約に調印したと発表した。売却額は2兆円(180億ドル)。

*東芝と、半導体製造用部材を手掛けるHOYAが過半の議決権を持つ。出資額は東芝が3505億円、HOYAが270億円。

*ベインの出資額は2120億円で、韓国半導体大手のSKハイニックスは3950億円。このほかアップルなど米国のIT企業が総額4155億円を拠出する。また銀行などから計6000億円の融資を受ける計画。

*東芝によると、SKハイニックスは東芝メモリの情報から遮断され、取得できる議決権も今後10年間、15%以下に制限される。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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