銀行団「月内、譲れぬ一線」半導体売却 – 日本経済新聞

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 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却先選びが混迷を深め、資金繰りを支える銀行団がいらだちを募らせている。今期中に債務超過を解消できなければ、銀行団は崩れかねない。その期限となる「9月末」を迎え、売却先の決定を迫る「レッドライン」(譲れない一線)を通告した。東芝の生命線ともいえる「融資枠」を継続すべきか議論が起きているためだ。

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 14日、東芝が都内で主要行向けに開いた説明会。平田政善最高財務責任者(CFO)は「前日の取締役会で確認したように、(米投資ファンドの)ベインキャピタルが率いる日米韓連合と交渉を進めていく」と明言。来週開く取締役会で決議を目指すとした。

 銀行団関係者は「メインバンクも日米韓連合でまとめようとしていると映った」と証言。メイン行は対抗馬のウエスタンデジタル(WD)を売却先に推していたが、東芝はそれを裏切った。仲たがいするとみられていたが、メイン行は逆に東芝と寄り添う姿勢を見せつけた。

 二転三転する売却先探し。銀行団の中にはあきれ顔で見る関係者も少なくない。それでも最終局面でメイン行が見せた“協調姿勢”は何を意味するのか。

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 実は9月末に期限を迎える合計6800億円に上る「融資枠契約」が関係する。更新まで数週間を切った9月7日。みずほ、三井住友、三井住友信託の主力3行が「融資枠を更新するには売却先との最終契約が前提だ」と通告したからだ。

 この融資枠は「コミットメントライン」と呼ばれ、一定の範囲内で銀行が融資の実行を約束する契約だ。日々の資金繰りや万が一の場合に、東芝が自由に引き出せる安全網。東芝の“命綱”だが、銀行は「合意の内容を見極める必要がある」と保留し続けていた。

 しかし、強気に見える銀行団も本音をのぞくと少し様子が違う。そもそも債務超過を解消できず上場廃止になれば、陰に陽に東芝の業績に影を落とすのは必至だ。今年度内に売却手続きを終えるまでには最低でも半年間が必要だ。間に合わずに債務超過を解消するため資本支援を頼まれたら、断れなくなるかもしれない。

 さらに主力行は東芝メモリ株を担保に取っている。担保価値が目減りするリスクをどう防ぐかも重要課題だ。相対融資で三菱UFJフィナンシャル・グループなど一部銀行が不良債権に格下げしており、融資枠にしわ寄せがくる不安もある。

 刻々と時間切れが迫る中、しびれを切らしたのは銀行団だった。8月中旬、「8月末まで」と初めて期限を示し、早期妥結を迫った。一時は東芝が四日市工場(三重県四日市市)で協業する米WDとの歩み寄りを見せたかに映った。

 東芝がひとまず出した答えは銀行が推したWDではなく、日米韓連合だった。銀行にとって想定外の展開だが、寄り添わざるを得ないジレンマに陥ったともいえる。東芝が日米韓連合と覚書を結んだ13日、主力行幹部は「どちらでもいいから早く決めてくれ」と悲鳴を上げた。

 最後通牒ともいえる9月末のレッドラインは、銀行が自ら管理下に置くか否かの判断を迫る最後の一線となるかもしれない。




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