福岡発!最先端IoT活用の「&AND HOSTEL」新たな価値をつくるホステルとは – HOME’S PRESS(ホームズプレス)

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「宿泊自体を観光目的に」次世代型ホステルの誕生

人気のIoTダブルルーム(9,500円/1泊)部屋の様々な最先端機能を試すことができる人気のIoTダブルルーム(9,500円/1泊)部屋の様々な最先端機能を試すことができる

九州最大の歓楽街と有名な福岡の「中洲」。降りる駅は中洲川端駅。そこから徒歩2分の場所に「& AND HOSTEL(アンドホステル)」はある。夜の街の目と鼻の先にありながらそのイメージとは違い、昔ながらの雰囲気を醸し出すアーケード「川端商店街」のど真ん中にある。

& AND HOSTELは昨年8月、最先端のIoTデバイスと横断プラットフォームを活用した「日本初のスマートホステル」として誕生した。耳慣れない言葉だが、「IoT」とは「Internet of Thing」(モノのインターネット)の略。さまざまなモノをインターネットに接続していく技術のことだ。

& AND HOSTELの事業主は、遊休地を活用した太陽光発電事業を行う株式会社BIJ(東京都渋谷区)。増加を続ける訪日外国人旅行者数と、主要都市の好調なホテル稼働率・低価格帯のホテル人気を受けて、新規事業として宿泊業へ参入した。『宿泊自体をひとつの観光目的とした価値創造』を目指す。プロデュース及びIoTアプリの構築は、スマートフォンを基軸とした開発事業を行うand factory株式会社(本社:東京都目黒区)が担当する。アジアの玄関口として知られ、国家戦略特区の決定、スタートアップ都市宣言などで熱い視線の集まる福岡市が立地選定された。

今回、オープンから半年ほど経った& AND HOSTELを取材した。

案内していただいたのは& AND HOSTELを運営する株式会社FREE SPIRIT JAPANの取締役・柴田大輔さん。スタッフさん達と共に笑顔で迎えてくれた。

ホステルの実際の運営は柴田さんらが取り仕切る。

「もともと僕らは『ホステルをやりたい』と思っていました。そこへand factoryさんを通して、BIJさんから相談があって、もう『ぜひやりましょう!』という流れでした。」

& AND HOSTELが社会に寄与していることは大きく2つある。1つはIoTを採用したことによる技術革新への寄与、もう1つはホステルのまちづくりへの寄与である。

もっと簡単にもっと実用的な、IoTのある暮らしの実現を

コミュニケーションロボット「BOCCO」 。スマートフォンのアプリと連動してメッセージのやり取りができるコミュニケーションロボット「BOCCO」 。スマートフォンのアプリと連動してメッセージのやり取りができる

より快適な暮らしを目指して、IoT領域には多くの企業や研究機関が参入し、開発や製品化が進んでいる。

&AND HOSTELにはIoTルームがあり、そこに泊まると、近未来の暮らしを思わせる体験をすることができる。ホテルのチェックイン時には、ルームキーではなくIoTルーム専用のスマートフォンが渡される。開発各社の協力のもと、11種類のIoTデバイスを組み込んでおり、スマホ1つで様々なことができるのだ。例えば部屋の前で「DOOR」ボタンをタップすると、鍵の開閉・部屋のライトを操作が可能だ。エアコン・TV・空気清浄機の設定やルームサービスの予約、コンシェルジュロボを起動して会話することもできる。部屋に設置されているデジタル窓で世界中の景色を楽しむことができ、メガネ型のデバイスでAR(拡張現実)福岡観光を体験することもできる。

通常は、各デバイスを動かすためにそれぞれ専用のアプリが必要で、面倒になりがちだが、ここでは各企業と九州大学やNPO法人が提携し開発した横断的なアプリを採用している。これが&AND HOSTELが「スマートホステル」たる所以である。

2020年には全世界で約500億、国内だけでも27.5億ものデバイスがインターネットに繋がると予想されている。しかし今現在、IoTデバイスはその単価の高さもあり消費者に下りていない。そのメリットを享受している人は少ない。利用されないことは、開発者にとっては改善点が見えないことでもある。

& AND HOSTELは、ユーザーのデータを集積し、実証実験の場としてIoT技術の向上に貢献していくのだ。横断アプリも、まだ開発の第1段階。ユーザーからのフィードバックを得て、徐々にアップデートされていく。

「どこから消費者に普及していくかというと、多分不動産からなんです」と、柴田さんは語る。数年後には住宅の規格にそういった技術が組み込まれていくのかもしれない。実際、住宅メーカーや不動産コンサル関係からの視察は多いそうである。

「ホステル」としてのホスピタリティももつ& AND HOSTEL

& AND HOSTELの1階は一般解放型のダイニングカフェを兼ねた宿泊者のダイニングスペースとフロント。奥に女性専用ドミトリーと普通のダブルルームが2部屋ある。2-3階にはそれぞれ、Mixドミトリーが2部屋と、IoTダブルルーム・IoTキングルームが1部屋ずつ。最大48名が宿泊可能だ。各階に共用の洗面・トイレ・シャワールームがあり、廊下部分にはコモンスペースとしてベンチやFreeのドリンク類、観光情報誌などが設置されている。

最新のIoTが活用されているが、ここはあくまでホステルなのである。

観光やショッピングを思いっきり楽しんだら、ゆっくりと寛いでもらいたいし、自然な流れで人が繋がる感じも楽しんでほしい。地元ではないどこかで、自分のことを知らない人たちに受け入れられた瞬間の感覚は、旅ならではの嬉しさがある。

& AND HOSTELのスタッフさんは皆、海外が好きだったり、将来ゲストハウスを開きたいと夢見ている人たちだ。好きだからこそのホスピタリティと、適度な距離感もぜひホステルでは体感してほしい。

宿泊料金は、ドミトリー3,000円からとリーズナブルである。個室はスタンダードダブル8,000円、IoTダブル9,500円、IoTキング12,800円と周辺のホテルともそう変わらない価格ながら、平日もドミトリーは90%以上、個室80%以上の稼働率を保っている。

「個室については個別で稼働率推移を見ています。運営として僕らはIoTで特化しているつもりはないんです。個室も、普通のダブルから埋まっていきますね。」(柴田さん)

ちなみに、& AND HOSTELのウェブサイトから予約をすると、返信は自動配信ではなく、スタッフさんの一言が添えられた手動のメールが届く。「IoT」でハイテクなイメージを持っていた人は少しそのギャップに戸惑うらしい。ホステルとしてのホスピタリティも大切にされているのだ。

写真左上:スタンダードダブル 写真右上:ドミトリー</br>1階のダイニングカフェは、宿泊客でなくても利用できる写真左上:スタンダードダブル 写真右上:ドミトリー1階のダイニングカフェは、宿泊客でなくても利用できる

& AND HOSTELがここにある価値を根付かせていく

「まずは宿としてお客様の満足から。そして出来る限り地域の行事には関わっていきたいです。」と語る柴田さん「まずは宿としてお客様の満足から。そして出来る限り地域の行事には関わっていきたいです。」と語る柴田さん

「僕はもともと、地元熊本の矢部町にカフェを開きたいとずっと思っていて、飲食の現場に携わっています。東京で働いていた時に蔵前にあるNui(※東京都台東区蔵前にあるホステルのこと。1階は一般解放型のダイニングラウンジで空中階が宿泊者専用になっている。Nuiに魅了される者は多く、ホステルの「安宿」イメージをがらりと変えた先駆的な存在)に出会いました。あの圧倒的な空間力、ホステルとしてのゆるやかな繋がり、どんどん周りの人に派生していく様子を見て、ホステルをやりたいと思うようになって。そんな時にこのプロジェクトの話が来たんです」と、柴田さん。

「昭和の雰囲気のアーケード」「ホステル」「最先端」という異色の組み合わせが面白く、& AND HOSTELはオープン前から多くのメディアに取り上げられた。だが、始めて終わりではない。ここからこの福岡に& AND HOSTELを根付かせていくことが今のやるべきことであり目標だ。

九州でやることに意義があると柴田さんは言う。

「九州の人は、地元のことが大好きで、あまり外に出て行かない人が多い。それは時として視野の狭さを感じ、閉塞感をもたらすこともある。だからこそ、外から新しい発想を持ってくる、外との繋がりを作りたい」のだそう。

新しいことに興味のある人をここに呼び込むこと。まずは宿としての機能を高めお客様の満足を高めること。そして地域に対しての働きかけを強化していくこと。そうして九州の文化の発展に貢献していきたいと、目を輝かせながら語る様子が印象的だった。

IoTもその言葉自体はまだあまり知られていないが、& AND HOSTELがメディアにとりあげられることで人々の認知度も少し上がったようだ。商店街のおじいちゃん達が、「ここは何ね?」と覗き込み「ホステル」というものを知ってもらう機会が増えたという。

古くからある店が多いゆえ川端商店街の店じまいは早い。夜8時以降シャッター街化してしまうこの通りにホステルの灯りがついた。まちに関わっていこうという思いの若者がここに集い、地域の行事や祭りの担い手が増えている。これからこのまちにどんな変化をもたらしていくのだろうか。

& AND HOSTELのこれからが楽しみである。

■取材協力:& AND HOSTEL
https://andhostel.jp

2017年 03月12日 11時00分


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