VC 新産業育成の原動力 – 日本経済新聞

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 優秀な起業家が大きな投資資金を呼び込む。大きな資金は多くのスタートアップ企業を成功に導き、優秀な起業家を増やし、さらに多くの資金を呼び込む。このような自己拡大的な循環こそがスタートアップ生態系の進化の原動力となる。

テクノロジー分野のスタートアップに数多く投資し、社外役員として経営を支援。支援先には、アイスタイルやナナピ、メルカリなどがある。東京大学経済学部、ハーバード大学MBA卒。

テクノロジー分野のスタートアップに数多く投資し、社外役員として経営を支援。支援先には、アイスタイルやナナピ、メルカリなどがある。東京大学経済学部、ハーバード大学MBA卒。

 米国のシリコンバレーでは、1960年代後半からこの循環が続いている。2016年にはスタートアップ投資を専門とするベンチャーキャピタル(VC)のファンド組成額は円換算で約4兆6千億円にのぼり、日本の20倍以上になっている。多額の資金がスタートアップに向かっているからこそ、新産業育成の原動力になっていると言える。

 日本でもスタートアップ生態系への資金供給は急伸している。ファンド組成額は09年に474億円で底を入れた後、14年に911億円、16年には2358億円と急拡大した。

 筆者がパートナー(共同運営者)をつとめるグロービス・キャピタル・パートナーズなど、数えるほどしかなかった独立系VCも数多く新設された。大企業系や大学系のVCも急増しており、投資家側の生態系も急速に厚みを増している。

 そこに寄与しているのが政府のスタートアップ及び新産業育成施策と、大企業のオープンイノベーション(イノベーションの種を外部に求め、スタートアップを中心に外部との連携を強める動き)の推進だ。

 中小企業基盤整備機構は14~16年度に938億円、産業革新機構も13~16年度に500億円超をVCへの投資に充てており、独立系VCの増加・育成に貢献している。国立大学のファンドにも計1000億円の出資を決め、大学系VCファンド組成の呼び水となった。

 大企業が運営するVCファンドの組成は16年には500億円を超えた。以前から積極的だったKDDIなどに加え、トヨタ自動車電通富士通SOMPOホールディングスなど名だたる大企業がファンドを新設している。大企業によるスタートアップの買収や投資も、規模、件数ともに増えている。KDDIはソラコムを200億円超で買収、トヨタはプリファード・ネットワークスに累計115億円出資している。

 今後、日本のスタートアップ生態系もシリコンバレーのように好循環に入っていくだろう。累計125億円を調達して未上場の間に海外に橋頭堡(きょうとうほ)を築いたメルカリ。こうした企業を後進のスタートアップが見習い、進化した生態系の資金供給力を活用すれば、米国のようにユニコーン(企業価値が1000億円以上の未上場企業)が数多く生まれる。そして、スタートアップ生態系は、日本全体の成長と新産業育成に大きく貢献する。

 そのとき、我々VCは、経営、事業面での支援など、スタートアップの成長の伴走者としての役割が強く求められるようになる。

[日経産業新聞2018年1月10日付]




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