投資は「U25起業家限定」 スカイランドベンチャーズ :日本経済新聞 – 日本経済新聞

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 U25(25歳以下)の起業家に投資します――。独立系ベンチャーキャピタル(VC)、スカイランドベンチャーズ(東京・渋谷)のモットーだ。独立して6年になる木下慶彦代表パートナー(31)は各地の起業家イベントに精力的に姿を現し、起業を志す若者の間では有名人。最近は学生に起業を呼びかけ、挑戦する風土を根付かせようと奔走する。

■慶大2年生に300万円

 「お、2人は25歳同士? ぎりぎりだね。早く会社作ろうよ」「この事業計画、(顧客にとって不可欠な)マストのポイントを作らないとね」

 冷え込みが厳しい11月中旬の早朝、渋谷のビルにあるインキュベーションスペース「#HiveShibuya(ハイブシブヤ)」で木下氏と若い起業家らの会合が始まった。毎週水曜日朝8時から開く連続ミーティングの予約は、口コミやネットで情報を得た若者が集まり常に満杯だ。

 この日は起業家5人と、将来の起業やVCへの就職を志す東北大、早大などの学生ら5人が予約していた。彼らの緊張を解きほぐすように笑顔を見せる木下氏だが、時に計画の甘さを厳しく指摘することも。15~20分単位で面談をこなす。

 契約のため訪れたクラフタ(東京・渋谷)の長島悠人社長(21)は現役の慶大2年生。インカレのビジネスコンテスト運営団体で知り合った仲間ら約10人でライフスタイル特化型のネットメディアを運営する。

 スカイランドから300万円の出資を受けた。静岡県職員である長島氏の父親は起業を全面的に支援しているという。「木下さんにも励まされた。ぼくらの世代は学生時代の起業の経験が将来、必ずプラスになる」と力強く語る。

 社会問題解決型のスタートアップにも投資する。日本で働く外国人のビザ申請を簡易にするシステムを提供するレジデンス(東京・渋谷)。岡村アルベルト社長(26)は日本人とペルー人のハーフで、東京の入国管理事務所で働いたことがある異色の起業家だ。「日本で働きたくても入国しにくい同胞の状況を改善したい」と起業。5月にスカイランドから500万円の出資を受けた。

 スカイランドの現在の運用規模は総額14億円。他のVCが数十億円から100億円超を運用するのに比べ規模は小さい。ただ創業初期のシード投資に集中し投資先は50社強、1社あたりの投資額は1000万~2000万円と分散させている。上場実績はまだないが「2社が候補」という。

■伸びる起業家の3条件

 木下氏が唱える「伸びる起業家」の条件は3つある。「U25、プログラミング能力、ツイッター」だ。それぞれ「若い人はハングリーで、失敗しても途中からの切り替えが早い」「社長がエンジニア、あるいは最高技術責任者(CTO)がいてデジタル時代に対応できる」「(ツイッターで)他人からの刺激を受け続ける必要がある」という理由だ。

スカイランドベンチャーズの岡山佳孝氏

スカイランドベンチャーズの岡山佳孝氏

 木下氏は大和証券系VCから独立系VCインキュベイトファンド(東京・港)を経て2012年に26歳で独立した。若さが重要との信念がある。

 3つの条件を満たす人物は最近は10代になってきた。9月に設立したばかりのアプリ開発のアンディファインド(東京・渋谷)は若月佑樹氏(19)が率いる。創業時の資金をスカイランドから受け、「若いうちは勝負ができる」と話す。

 木下氏の活動の原点はエンカレッジ(励ますこと)だ。毎週開くミーティングで実際に投資したくなる起業家に出会えるのは2週に1人と効率が悪い。それでも続けるのは「若い世代に起業への意識を持ってもらうことが重要」との思いからだ。

 また、東大、早大、慶大、東工大、筑波大、東京理科大などの起業家講座にも足を運び、学生に直接呼び掛ける。

 若い層に起業やVCを身近に感じてもらおうと同社の岡山佳孝氏(26)とともに「ユーチューブ」の公式チャンネルも開設している。

 スカイランド創業時にエンジェル投資をした人材サービス会社、キープレイヤーズ(東京・港)の高野秀敏社長(41)は木下氏の支援者の一人。「彼は学生に『きょう会った人は全員起業しましょう』と呼びかけるなど、若い人に刺さる言葉を投げかけられる。自らが極端なことをしないと、皆が動かないことを知っている」(高野氏)

 米シリコンバレーでは事業に失敗した起業家であっても次の投資資金を集めて再起する余地がある。日本の「起業風土」づくりに向け、木下氏の種まきは続く。

(企業報道部 加藤貴行)

[日経産業新聞 2017年11月22日付]




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