商工中金で発覚した組織ぐるみの金融不祥事 税金の無駄遣いに見直しを – 財経新聞

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 16年10月に商工中金の鹿児島支店で取引先の財務諸表を職員が書き換えていた不正が発覚した。良好な財務内容を誇る事業先の財務諸表を悪く見せるように、他でもない商工中金の職員が改ざんしていたのだ。同様の不正はその後の調査で、ほとんど全店で行われていたことが判明した。

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 同じような“事件”は14年12月に池袋支店でも発覚していた。商工中金の担当者らが110にのぼる取引先の口座で、売上高や純利益の数字などを悪く見えるように改ざんしていた。商工中金はこの時、徹底調査を指示したことになっているが、内部調査の際に答えを誘導するようなテキストを作成したうえで、「不正行為は認められない」と結論付けていた。財務諸表を改ざんする職員も、不正行為が無かったことにしてしまった内部監査組織もグルのようなものである。

 商工中金は政府系金融機関として、民間金融機関が対応できない業務に特化して民業の補完業務をすることが使命であり、民業圧迫を避けることは大前提である。大規模災害等の発生時には、担保なしの融資や利払い費などの支援が必要な場合もあり、民間金融機関には真似ができない非常時の金融安全網としての役割は、社会不安の拡大を防止する効果が強く、政府系金融機関の存在意義である。

 商工中金は非常時のために用意されていた「危機対応融資」という制度融資を、本来であれば利用することができない良好な財務内容の企業に、極めて低金利で、あるいは利払い費の支援までして融資していたのだ。事例の中には既に地方銀行との間で検討が進んでいた融資案件を、低金利で強引に横取りした事例も少なくないという。民業補完の精神など全く感じられない。国内の100店舗のうち97店舗で、3886人の職員のうち444人の職員が、4609口座(融資額2646億円)について書類を改ざんし、財務内容を悪くみせるなどの不正に手を染めていた。処分対象は800人以上となり全職員の2割以上である。もはや金融機関の体をなしていないと言わざるを得ない異常事態である。

 最近、自動車の完成車検査に係る不適切な事例や、神戸製鋼所から始まったデータ改ざん問題が喧伝されているが、いずれも相当の経費を負担し企業イメージを毀損するという社会的な制裁を受けている。これに対して、商工中金の場合は税金を必要のない企業に貸し出して固定化し、利払い費の支援として不正かつ無駄に税金を費消している悪質な事案である。

 10月に地銀協がまとめた調査によると、政府系金融機関に融資機会を奪われる「問題事例」が424件あり、日本公庫が61%、商工中金が26%を占めたという。政府系金融機関が自らの存在感を誇示するために、税金の無駄使いをやっているのであれば、見過ごすことのできない大きな問題と言える。昨今の民間金融機関の惨状を見るにつけ、政府系金融機関の存廃を含めた徹底的な見直しが今求められている。(矢牧滋夫)




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