AIで運用する投信が魅力的 飛び付いてもいい? – 日本経済新聞

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 株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

◇  ◇  ◇

Wさん(以下、W):最近、AI(人工知能)を活用した投資信託や投資サービスが人気ですね。人間の想像力が及ばない情報を投資に生かせると聞くとワクワクします。

吉井(以下、吉):何かお目当ての投信があるのですか。

W:「AI日本株式オープン(絶対収益追求型)」です。日本株相場が軟調な時でも値動きが安定していると聞きました。やはりAIによる銘柄選びが効果的なのでしょうか。

吉:それは誤解ですね。この投信は「絶対収益追求型」とありますが、何を意味しているか分かりますか。

W:値下がりしにくい銘柄をAIが選んでくれるということでは?

吉:いいえ。これはいわゆる株式ロング・ショートの投信です。

W:ロング・ショート?

吉:株式の運用戦略の一つで、相対的に魅力ある銘柄を買い持つ(ロング)と同時に、相場全体に連動する株価指数先物を売り建てる(ショート)方法です。現物株の値動きを相場全体の動きで一部相殺することで、差益を取ることを目指します。下げ相場でも同投信が安定していたのは、先物を売って相場変動の影響を抑えていたからで、AIが選んだ銘柄が値下がりしなかったわけではありません。

W:そうなんですね。では、値上がりするのはどんな時ですか。

吉:組み入れ銘柄の値動きが相場全体を上回れば、その差分が収益になります。同投信は実績が短く、実力を判断するには尚早ですが、設定来ほぼ横ばいで推移していることに鑑みると、今のところAIの銘柄選びが十分な効果を発揮しているとは言い難い状況です。

W:絶対収益追求型といっても当てにならないものですね。

吉:ロング・ショート型投信全てが悪いわけではありません。例えば「AR国内バリュー株式ファンド」は人間が銘柄を選ぶロング・ショート型で安定的な成績を継続しています。要はAIか人間かではなく、実績を確認して運用戦略が機能しているかを見るのが大事です。

W:AIで運用すると聞くと、人間とは何か劇的な違いがあるのではないかと期待してしまいます。

吉:その期待の表れなのか、「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略」という先進国株式投信も資金を集めています。銘柄選びの『一部』にAIを活用していると目論見書にありますが、投資している人は恐らく「AIによる何か劇的な違いがある」と期待しているのではと推測します。しかし実際はインデックス型投信と同じ方向に動いていて、短期間の成績ではその差もわずかです。AIの優位性は、もっと長期的な成績を見ないと判断できません。AIに限らず、日本の投資家は新しいテーマや商品に飛び付く傾向が強いのですが、もっと冷静さが必要でしょうね。

W:まずは中身を調べ、実績をしばらく確認するのが大事なのですね。

吉井崇裕

 イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約4000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在はFP法人GAIAのセレクトファンドの選定に携わる。

[日経マネー2017年11月号の記事を再構成]




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