人気の損失限定型投信 「損しない」って本当? – 日本経済新聞

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日経マネー

 株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

◇  ◇  ◇

Bさん(以下、B) 最近、「あんしんスイッチ」という愛称の投資信託が銀行で売れていると聞きました。購入を検討しているのですが、吉井さんはどう思いますか。

吉井崇裕(以下、吉井) 「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド」のことですね。どこに魅力を感じているのですか。

B 基準価額に関する保証があって、損せずにお金を増やしていける仕組みだと聞きました。

吉井 「損せずに」というのは大きな誤解です。正しくは「基準価額を一定水準で確保する」仕組みで、損をしないということではありません。設定当初は基準価額1万円に対して、9000円の水準を「プロテクトライン」として保証します。その後、基準価額が1万600円に達するとプロテクトラインが1万円に引き上げられます。さらに基準価額が1万1111円に達すると、以降は基準価額の最高値の90%水準を保証する仕組みです。

B 一旦上昇したプロテクトラインは下がらないんですよね。ということは、値下がりしても損失が10%くらいまでに限定されると考えればいいのでしょうか。

吉井 はい。基準価額がプロテクトラインを下回ることはありません。現在は基準価額が1万円程度で、プロテクトラインは9000円のままですね。ちなみに投信では目新しいタイプなのですが、保険商品では変額年金保険(ラチェット型)が、同じような仕組みで10年以上前から販売されています。

B そうなんですね。投資に当たって注意することは何でしょう。

吉井 大事なのは、この投信でどれほどのリターンが期待できるかです。基準価額がプロテクトラインまで下落した場合は繰り上げ償還する仕組みなので、必然的にこれを下回らないような運用をすることが想定されます。2017年10月末時点の月次リポートにある組み入れ資産を見ると、株式、債券、短期金融資産等(現金)の構成比がおよそ2:6:2と保守的な配分です。この配分で期待される長期的なリターンは年3%程度と推察されます。市場環境の変化によって配分は変動するので、現時点での参考ということではありますが。

B 年3%なら、それほど悪い気はしませんが……。

吉井 実際には、ここから運用関連コストが差し引かれます。信託報酬と保証料で合計1.4404%が引かれるので、正味の期待リターンは年1.5%程度でしょうか。

B 1.4%の費用を払って1.5%のリターンを期待するのか……。

吉井 それが割に合うと納得できるなら購入してもいいでしょう。ただ、インデックス型投信を組み合わせれば、より低いコストでこれに近い運用成果を期待できますね。

B うーん、ちょっと様子見かなあ。

吉井 新商品に焦って飛び付くことはないと思います。資産運用の世界では、リターンとリスクはトレードオフ。高いリターンを望めば、それだけ価格変動リスクも高くなります。逆に安定的に運用したいのであれば、期待できるリターンもそれだけ下がります。

B 目新しい言葉や仕組みに惑わされず、まずは自分がどれほどのリターンを望み、リスクを取れるのかを考えることが大切ですね。

吉井崇裕

 イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約4000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在はFP法人GAIAのセレクトファンドの選定に携わる。

[日経マネー2018年2月号の記事を再構成]





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