飲食店アプリをめぐる、ブランドとサードパーティの戦い:「仲間でありながら敵である」 – DIGIDAY[日本版]

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ファーストフードブランドのマクドナルドやバッファローワイルドウィングス(Buffalo Wild Wings)、パネラ(Panera)、チックフィレー(Chick-Fil-A)、ドミノ(Domino’s)は、10月に既存アプリの更新や新規アプリの導入を行った。これらには、特典や迅速な支払いオプション、宅配サービスなどが盛り込まれている。

ほかにも、シェイクシャック(Shake Shack)ドミノは、人気のソーシャルメディアやリアル店舗とアプリを連動させている。レッドロブスター(Red Lobster)やテキサスロードハウス(Texas Roadhouse)のようなレストランチェーンでも、アプリ内での特典を配信開始した。チポレ(Chipotle)も11月6日のアプリ更新で、Apple PayやAndroid Payでの支払いや、過去に注文したメニューを簡単に注文できるようになった。

宅配サービスとの競争

こうしたブランドによるアプリの展開は、消費者がモバイルを通じて他者と交流し、多くの時間を費やしているなか、モバイル上で消費者にリーチし、より迅速かつ便利に注文できるようにしている。だが、ブランド企業にとってより重要なことは、自社で消費者データを取得できるようになることだ。レストランと宅配サービスでは、シームレス(Seamless)、グラブハブ(Grubhub)、ポストメイツ(Postmates)、ドアダッシュ(DoorDash)などのサービスが市場の大半を占める。厄介なのは、これらの企業がファーストフードブランドのパートナーでもあることだ。

レストランと宅配サービスとの関係は、控えめに表現しても「複雑」だと言える。たとえばチポレは、自社での配達は行っていないが、ポストメイツやタピンゴ(Tapingo)、フェイバー(Favor)からも配達注文が可能となっている。チポレは年末に、さらに4~5社の宅配サービスを追加する予定だ。レストランが提携している宅配サービス各社はカスタマーデータを集めている。それに対し、レストラン各社は自社アプリを作ることで宅配サービスに流れていたカスタマーデータの入手につとめ、競争力を保とうとしている。

「ブランドと宅配サービスは、仲間であると同時に間違いなく敵でもある。両社は提携する一方で、自社ネットワークを維持し続けるため、提携先を複数に分散させている」と、米デジタル調査会社L2で消費財リサーチ部門ディレクターを務めるベン・ザイドラー氏は指摘する。

宅配サービスとブランド間に特別な取り決めがない限り、大半の宅配サービスはカスタマーの意図や好みを汲み取れるようなデータをブランドに提供することはない。チポレの最高デジタル責任者であるカート・ガーナー氏によると、同社は宅配サービスのパートナーから注文に関するセールス、トランザクション、時間や内容に関する情報は受け取っているが、カスタマーデータは受け取っていないという。

アプリ更新による成果

ブランド企業は、アプリのデータを活用して購入パターンを追跡し、それに基づいて消費者のプロフィールを作成して、消費者一人ひとりにパーソナライズしたオファーを提供できるようにしようとしている。ガートナー氏によれば、チポレでは更新版のアプリを通して、消費者を「びっくりさせて喜ばせる」ようなサービスを探るつもりだという。「データを利用することで、消費者が望んでいる方法で、顧客体験をコントロールできるようになる」。

一方、消費者のプロフィールを特定するのにアプリが適しているかは疑問が残る。いまやスマートフォンに多くのアプリを残しておく人は少ない。モバイルアプリ市場調査会社アップアニー(App Annie)のレポートによると、2017年のアプリ利用数は、平均で月に30、1日あたりで9つとなっている。だがその大半はSNSのアプリか、Safariのような最初からデバイスにインストールされていたアプリだ。

そんな状況でも、レッドロブスターやチポレはアプリの更新が成果に繋がっているようだ。たとえばレッドロブスターのアプリ内で提供している特典には、同アプリをダウンロードした利用者の75%がレシートをスキャンしており、また25%が2回以上ポイントの引き換えを使っている。チポレでも、具体的な数字は明かしていないが、モバイルを通じた注文数が劇的に増えているという。

パイを分け合う戦略

今後とも、ブランド企業は宅配サービスと連携していくことになるだろう。いわばブランド各社は、残りものを取りにいくのではなく、パイを分け合うことを選択しているといえる。実際のところ、宅配サービスは、デリバリー市場におけるシェアの大半を占めている。モルガン・スタンレーによる2016年調査によると、グラブハブだけでも米国の市場シェアの23%を占めており、1位のドミノとの差はわずか1%しかない。

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出典:モルガン・スタンレー・リサーチ

さらに、新しい宅配サービスは次から次へと生まれている。グラブハブの手が伸びていないような小さな町にも、ウェイター(Waitr)やザ・ハウス(The House)といった小規模の宅配サービスがひしめいている。テック系企業も、Amazonレストラン(Restaurants)やFacebookの新機能であるオーダーフード(Order Food)、ウーバーイーツ(UberEats)といった形で宅配サービスに乗り出しており、消費者が多くの時間を費やすプラットフォームを通じてブランド各社がリーチできるようになっている。

チポレやファイブ・ガイズ(Five Guys)、ジャック・イン・ザ・ボックス(Jack in the Box)、パパジョーンズ、ウィングストップ(Wingstop)、パネラ・ブレッド(Panera Bread)、TGIフライデーズ(TGI Fridays)、デニーズ(Denny’s)、エルポヨロコ(El Pollo Loco)、ジミージョーンズといった企業は、いち早くFacebook上の自社のプロフィールページから直接注文を受け付けはじめている。

優柔不断なカスタマー

ザイドラー氏は、宅配サービスの成功は優柔不断なカスタマーとオンライン検索の力によるところが大きいとしている。たとえばL2が行っているデジタルIQインデックス調査の10月のレストラン部門に次のような内容が記載されている。「近くのレストラン」といったブランド名のない検索回数は、「パパジョーンズ」などのブランド名を含む検索回数を5万回ほど上回っているのだ。

これについてザイドラー氏は「決めかねているカスタマーがいるということだ。だからこそシームレスで注文する客がいるのだ」と語り、次のように述べた。「彼らは何を注文したいか決めかねている。それがチャンスだと思うブランドもいれば、低迷の兆候だと捉えるブランドもいるだろう」。アプリを更新しているブランドは、この状況を最大限に活かそうとしている側といえるのではないだろうか。

ILYSE LIFFREING(原文 / 訳:SI Japan)
Photo by Shutterstock




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