ゴディバと森永製菓、クオリティに差はない?「価格差8倍」の正体 … – livedoor

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ゴディバの「カレ ミルク」(右)と森永の「カレ・ド・ショコラ」フレンチミルク味。あなたはどちらが好きですか(写真提供:スパークス・アセット・マネジメント/瀬尾泰章)

「ゴディバvs.森永製菓」。読者の皆さんは、どちらがお好きだろうか。実は、チョコレートの「ブラインドテイスティング」で、どちらのほうが好きかを答えてもらう試みが、大手資産運用会社のスパークス・アセット・マネジメント、そして東京経済大学の石川雅也ゼミと金鉉玉ゼミの共同で行われた。味の好き嫌いを判断するのは、2つのゼミ学生33人と2人の准教授(石川・金)の計35人である。

これが、なかなか面白い結果となった。

ゴディバvs.森永、ブランド名を明かさず食べてもらった

ゴディバといえば、ベルギー王室御用達の高級チョコレートメーカーとして、世界的に高いブランド力を持っている。歴史はあるが、創業者のジョセフ・ドラップス氏がチョコレートを作り始めたのは、1926年である。

一方、森永製菓は1899年に森永太一郎氏が創業した製菓会社で、日本人でその名を知らない者は、いないといっても過言ではない、国民的ブランドだ。

この「一騎打ち」に用いられたチョコレートは、ゴディバ側が「カレ ミルク」。「カレ アソートメント」(9枚入りや16枚入りがある)などの中に入っている1枚だ。全店ではないが、1枚ずつでも買うことができる。一方、森永製菓側は「カレ・ド・ショコラ」のフレンチミルク味である。1箱は21枚入りだ。ちなみに、「カレ」は、四角を意味するフランス語である。

まずは目をつぶった状態で、両方のチョコレートを学生たちに1枚ずつ、順番に食べてもらった。学生には、2枚のチョコレートが、ゴディバだとも、森永だとも事前には明かしていない。あくまで別のチョコレートを計2枚食べてもらったわけだ。


チョコレートのブランドはまったく不明。目をつぶって2枚のチョコを食べ比べてみた(写真提供:スパークス・アセット・マネジメント/瀬尾泰章)

その後、「自分の好きな味はどちらか」という問いに対して、「最初に食べたチョコレートが好きな人」「後に食べたチョコレートが好きな人」というようにはっきり2つのグループに分け、教室のまんなかをはさんで、数え間違いがないように席を移ってもらった。読者に少しだけ先にタネを明かすと、最初に配られたのがゴディバで、後が森永である。

結果は、「最初に食べたほう(ゴディバ)が好き」と答えた人が17人。「後から食べたほう(森永)が好き」と答えた人が18人だったのである。つまり、好みはほぼ完全に二分された。教室は「えーっ」「やっぱり〜」などという声でどよめいた。


意外な結果に「えーっ!」と驚く学生や先生。東京経済大学の石川・金合同ゼミで(写真提供:スパークス・アセット・マネジメント/瀬尾泰章)

聞いてみると、ゴディバが好きと答えた人たちの感想は、「滑らか」「食べなれた味」「程よい甘さ」であり、一方の森永製菓が好きと答えた人たちは、「香りと味が好み」「甘さが優しい」「甘さが程よい」というものだった。もちろん味覚は人によって異なる。なので、好き嫌いが分かれるのは当然である。だが、注目したいのは、獲得票数が両者ともほとんど同じだったということだ。

「8倍の価格差」を、どう考えればいいのか

実はここに、今の日本の株式市場が抱えている問題点が隠れている、というのは大げさだろうか。

ゴディバの「カレ アソートメント」の値段は、1グラム当たり24.4円。これに対して森永製菓の「カレ・ド・ショコラ」の値段は、1グラム当たり3.1円で、両者の間にはなんと約8倍もの価格差がある。これだけの価格差があるのにもかかわらず、どちらが好きかという答えは、ほぼ半々となった。もちろん、たった35人の結果といえば、それまでだ。また、ミルクやカカオの含有量などを事細かに比べてはいない。「ゴディバ17対森永18」という事実を、どう解釈するかだ。

「このブラインドテイスティングの狙いは、ブランド力と企業価値について考えることにある。興味深いのは、好みが二分されたこと。これは、2つの商品の価格差ほど、クオリティの差があるわけではないことを示している」と言うのは、今回のブラインドテイスティングを企画した、スパークス・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、清水孝章氏だ。

もし、クオリティ(品質)に差がないとしたら、この価格差をどう説明すればよいのか。ゴディバは輸入品なので、為替レートによるものではないかと考えたくなるが、為替レートでは8倍もの価格差を説明することは不可能だ。では、この「価格差8倍」の「正体」は何だろうか。

ゴディバと森永製菓のビジネスで大きく異なるのは、ゴディバが世界中でブランド展開しているのに対し、森永製菓は長いこと国内市場を主戦場にしてきた点だ。

「もし、製品のクオリティ面でゴディバと大差がないという前提が成り立つとすると、森永製菓が海外に本格進出をし、世界的にブランド力が向上したら、どのようなことが起こるのか。森永製菓の業績は大きく改善し、株価も大きく上昇するのではないか」

そう考えて、スパークスは運用しているファンドを通じて、森永製菓の株式に投資した。成果はどうだったのか。

「森永製菓の株価は、1989年11月のバブルピーク時に5700円という最高値をつけた。その後、低迷を続け、スパークス・アセット・マネジメントが投資した2014年12月時点の株価は上昇こそしていたものの、1395円だった。

実はこの直前から森永製菓には、変化が起こっていた。2013年6月に新井徹氏が社長に就任したのである。新井社長は不採算品の整理などを積極的に行うとともに高付加価値路線を加速化。また、ほとんど海外展開を図っていなかった(就任時は約3%)が、積極的な海外進出路線に舵を切り始めた。

その後、業績は大きく改善。ほかの投資家も森永製菓の企業価値に気づいた結果、株価は2017年6月13日に7270円をつけ、過去最高値を更新した。スパークス・アセット・マネジメントが投資してから2年半で、株価は約5倍にもなった計算だ。

「日本株」は、まだまだ「進化」できる

とはいえ、ここから先の株価に対しては、懸念する声も聞こえてくる。日経平均株価は1996年のバブル崩壊後の戻り高値2万2666円を抜け、11月9日には一時2万3000円も突破した。1992年1月以来、約25年10カ月ぶりのことだ。

「そろそろ株価上昇も、限界に近づいているのではないか」。そんな声も聞こえてくる。だが清水氏はきっぱりとこう話す。「身近で見ても、たとえば、鳥貴族が28年ぶりの値上げに踏み切ったなどと、徐々にインフレムードが強まりつつある。インフレは株価にとって追い風だ」。

一方で「日本企業の財務内容は全体としてはピカピカで、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)もまだ割安な水準にあり、株価の上昇余地はまだあると見ている。ただし、今の状態にあぐらをかいているような経営者がいる会社に投資してはいけない。優れた経営者が舵取りをしている企業の事業価値を見極めて投資するのが、株式投資の王道だ」(同)。

森永製菓は日経225銘柄ではないが、森永もこれで終わりではないはずだ。同社の海外売上高比率は上昇トレンドを描いてはいるものの、まだ約7%。努力次第で、一段の飛躍の可能性が十分ある。

日経平均株価2万5000円は、そう遠くない未来に実現するかもしれない。




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