研削加工の基礎知識 – Tech Note(テックノート)

Home » 04研究開発・生産・物流 » 研削加工の基礎知識 – Tech Note(テックノート)
04研究開発・生産・物流, セル生産 コメントはまだありません



研削加工の基礎知識

著者:基盤加工技術研究所代表 工学博士 海野 邦昭

研削加工は、砥粒、結合剤、気孔で構成される研削砥石という研削工具を用いて、工作物表面をわずかに削り取り、所要の形状・寸法精度に仕上げる加工方法です。この研削加工は、高付加価値製品を作るためには、欠くことのできない基盤技術です。一口に研削加工といっても、角物部品を仕上げる平面研削や、丸物部品を加工する円筒研削、内面研削、センタレス(心なし)研削など多くの方法があります。目的に合った適切な研削方法を選択することが大切です。

第1回:研削加工の種類

今すぐ、技術資料(第1回)をダウンロード!(無料)

第1回は、研削加工の種類、研削盤と加工方法について解説します。

1. 研削加工とは?

通常、機械部品は、鋳造・鍛造、切削加工および熱処理の後、研削加工により仕上げられます。この研削加工には、通常、砥粒、結合剤、気孔でから構成される研削砥石(超砥粒ホイール)が用いられます(図1)。この研削砥石の作業面には多くの切れ刃があり、研削時には個々の切れ刃の切り込みは非常に小さくなります。これらの切れ刃が工作物表面をわずかに削り取るので、寸法精度や形状精度が非常に高くなります。

図1:研削加工とは

図1:研削加工とは(引用:海野邦昭、研削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.9)

2. 研削加工の種類

一口に研削加工といっても、多くの種類があります(図2)。旋盤などで切削加工し、熱処理を施した後に用いられるのが、円筒研削、内面研削およびセンタレス(心なし)研削などです。またフライス盤などで加工した角物部品を仕上げるのが、平面研削です。工作機械や自動車などの歯車の仕上げには歯車研削が、また親ねじの加工などにはねじ研削が用いられます。その他、ならい研削や研削切断などがあります。そのため作業目的に応じて、適切な研削方法を選択することが大切です。

図2:いろいろな研削加工法

図2:いろいろな研削加工法(引用:海野邦昭、研削加工の実務、日刊工業新聞社、2007年、P.10)

3. 平面研削盤と研削方式

平面研削盤とは、工作物をテーブル(電磁チャック)面に取り付け、平形砥石の外周面や側面、カップ形砥石などの端面を用いて工作物の平面を研削する機械です(図3)。

図3:横軸平面研削盤と立軸平面研削盤

図3:横軸平面研削盤と立軸平面研削盤(引用:清水伸二、初歩から学ぶ工作機械、2011年、大河出版、P.55)

平面研削盤には、立軸形と横軸形があります。テーブル面に対し主軸が平行なのが横軸形で、垂直なのが立軸形です。またテーブルの形状により、角テーブル形と丸テーブル形とに区分けされます。テーブルが往復運動するのが角テーブル形で、回転運動するのが丸テーブル形です。そのため平面研削盤は、横軸角テーブル形、横軸円テーブル形、立軸角テーブル形、立軸円テーブル形に分類されます(図4)。

図4:いろいろな平面研削の方式

図4:いろいろな平面研削の方式(引用:海野邦昭、研削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.11)

横軸角テーブル形の平面研削盤は最も汎用的で、ベッド、コラム、砥石頭、テーブル、サドル、ドレッシング装置により構成されています。この研削盤はテーブルの往復運動と砥石の回転運動により、砥石の外周面または側面(原則、砥石側面の使用は禁止)を用いて工作物の平面を研削するもので、長い直方体工作物の研削に適しています。また立軸円テーブル形の平面研削盤は、円盤状の工作物の高能率面研削によく用いられています。

4. 円筒(万能)研削盤といろいろな研削法

円筒研削盤は、円筒状の工作物を研削する機械で、主軸台、心押台、砥石台、ベッド、テーブルなどで構成されています(図5)。通常、工作物を主軸台と心押台の両センタ間に取り付け、砥石と工作物をともに回転し、研削液を供給して加工を行います。

図5:円筒研削盤

図5:円筒研削盤(引用:海野邦昭、研削の実務、日刊工業新聞社、2007年、P.70)

また、万能研削盤は砥石台や主軸台を旋回でき、またその主軸台にチャックを取り付けることができる円筒研削盤です。また場合によっては、内面研削装置を設置することも可能です。そのため円筒研削盤と比較し、いろいろな作業ができます。

図6:いろいろな様式の円筒研削

図6:いろいろな様式の円筒研削(引用:海野邦昭、研削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.15)

円筒研削は、通常、丸物部品の仕上げに用いられ、ストレートな円筒研削、テーブルを傾斜するテーパ研削、端面研削、総形研削などがあります(図6)。また砥石の切り込み方式の違いにより、工作物に直角方向に砥石を送って研削を行うプランジ研削方式と、工作物を砥石と平行に送って研削するトラバース研削方式があります。

図7:万能研削盤を用いた研削方法

図7:万能研削盤を用いた研削方法(引用:海野邦昭、研削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.16)

万能研削作業における円筒研削、テーパ研削および端面研削などは、円筒研削盤作業と同じです。この他に、万能研削盤では、砥石台を旋回したテーパ研削、チャックを用いた円筒研削、そしてその状態で主軸台を旋回したテーパ研削、および内面研削や正面研削ができます(図7)。

5. 内面研削とセンタレス研削

内面研削は、工作物を主軸台に取り付けたチャックで保持し、主軸の回転運動、テーブルの往復運動と小径砥石の高速回転運動により、丸物部品の内面を仕上げる加工法です(図8)。円筒研削と同様、テーブルを往復移動して加工するトラバース研削方式と、砥石を工作物と直角方向に送って加工するプランジ研削方式があります。また工作物を取り付けた主軸台を旋回し、加工するテーパ研削や工作物の砥石の側面で加工する端面研削があります。

図8:内面研削

図8:内面研削(引用:海野邦昭、研削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.16)

センタレス(心なし)研削は、工作物をセンタで支持することなく、その外周面を基準として、研削砥石、調整砥石、ブレードの3点支持により、研削を行う方法です(図9)。ゴムを結合剤とする調整砥石が回転すると、それにつれて工作物が駆動され、円筒研削と同様に、工作物の外周面が研削されます。この方法は、細くて長いあるいは非常に短いセンタで支持することが困難な工作物や、研削時に変形の恐れのある工作物の研削に多く適用されています。このセンタレス研削盤には、外周用と内周用の2種類があります。

grinding1-img9

図9:センタレス(心なし)研削盤(引用:清水伸二、初歩から学ぶ工作機械大河出版、2011年、P.51)

いかがでしたか? 今回は、研削加工の概要を説明しました。次回は、研削加工の理論を解説します。お楽しみに!

今すぐ、技術資料(第1回)をダウンロード!(無料)

第2回:研削・切削・研磨の違いとは?

今すぐ、技術資料(第2回)をダウンロード!(無料)

前回は、いろいろな研削様式を解説しました。研削加工は仕上げ加工なので、通常、鋼材の研削においては、形状精度、寸法精度、表面粗さの他、研削焼けや割れなどの表面品質が問題になります。そのため研削加工においては、工作物に作用する研削抵抗や熱の影響などをよく理解した上で作業を行うことが、大切です。今回は、研削の際の抵抗や熱による工作物の変形について解説します。

1. 切削、研削、研磨

切削加工とは、切削工具であるバイトやフライス工具などを使って、工作物の不要な部分を除去し、所要の寸法、形状にする加工方法です。また、研削加工とは、研削工具である研削砥石や超砥粒ホイールなどを用いて、砥石作業面上の多くの切れ刃で工作物表面をわずかに削り取り、所要の寸法、形状および表面粗さなどに仕上げる加工方法です。そのため、切削加工も研削加工もともに、工作物の不要な部分を除去し、所要の形状や寸法にする除去加工法であることには変わりがありません(図1)。

図1:切削加工と研削加工(切削イラスト提供:三菱マテリアル)

図1:切削加工と研削加工(切削イラスト提供:三菱マテリアル)

一方、研磨加工とは、遊離砥粒や固定砥粒を工作物に定圧で押し付けて、その表面を滑らかにする方法です(図2)。この方法には、遊離砥粒方式と固定砥粒方式があります。固定砥粒方式の場合は、研削加工と類似しています。この研磨加工は圧力制御方式(一定の負荷で工作物を加工)であるのに対し、研削加工は運動制御方式(所要の切り込みを与えて工作物を加工)という違いがあります。

図2:研磨加工

図2:研磨加工(引用:安永暢男、はじめての研磨加工、工業調査会、2010年、P.35)

次に、運動制御方式である切削加工と、研削加工の特性の違いを見てみましょう。切れ刃先端で工作物に対し垂線を立て、切削工具(バイト)のすくい面とのなす角を、すくい角と呼びます(図3)。切削工具のすくい角が大きいほど、切れ味が良く、切削時のせん断角が大きくなるので、薄い切りくずが排出されます(図3)。切削工具の切れ刃と研削砥石の砥粒切れ刃のすくい角を比較すると、前者は正で、後者は負となります(図4)。そのため研削の場合は、切削と比較し切れ味が悪く、加工時に切りくずが大きく変形するので、発熱も大となります。また切削の場合は、切削抵抗の主分力(接線分力)が背分力(法線分力)と比較し大きいのに対し、研削の場合の研削抵抗はその反対になります。研削時に背分力が大きいと、工作物や砥石軸が逃げて切り残しを生じ、形状精度や寸法精度に悪い影響を及ぼします。そのため研削加工は切削加工と比較し、切れ味の悪い加工法といえます。研削作業では、このような研削加工の特徴をよく理解しておくことが大切です。

図3:切削工具の切れ味とは

図3:切削工具の切れ味とは(引用:海野邦昭:切削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.25)

図4:切削と研削の特性の違い

図4:切削と研削の特性の違い(引用:海野邦昭、研削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.21)

2. 研削温度と熱損傷

研削加工の場合は、砥粒切れ刃のすくい角が負なので、加工時に切りくずが大きく変形し、発熱量が大きくなります。また、砥粒切れ刃のすくい面や逃げ面における摩擦による発熱により、研削温度が非常に高くなります。研削温度は砥粒研削点温度、砥石研削点温度、工作物(平均)温度、工作物表層温度に区分けされます。通常、研削温度は熱起電力を利用した熱電対により測定されます。しかし、これらの値を正確に求めることは困難です。

研削時に発生した熱の一部は工作物に流入します。その熱は工作物表面より内部に熱伝導し、温度分布を形成します。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 接触弧の長さと研削焼け

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. 研削時の工作物の変形

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。



今すぐ、技術資料(第2回)をダウンロード!(無料)


こんな記事もよく読まれています



コメントを残す