自分が課した限界を取り除く – InfoQ Japan

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ひとは困難にぶつかると限界を感じることがある。スローダウンしたり、トライしなくなったりする。これは現実にある問題かもしれないが、実際には想像上のものかもしれない。時として、あなたを抑えているのは、あなた自身しかいないのだ。Joep Schuurkes氏はそう語る。生存のルールが邪魔をすることもある。そのときはルールを破る必要がある。

MendixのソフトウェアテスターでスクラムマスターのJoep Schuurkes氏は、European Testing Conference 2017の「There’s More to You Than You Think」という講演で、自分が課した限界を取り除くことについて語った。InfoQではこのイベントを、Q&A、まとめ、記事で紹介している。

Schuurkes氏はまず、テスターとして銀行で働きはじめた頃の話について語った。銀行での仕事はアジャイルとスクラムに従っていたが、その当時、彼にはまったく経験がなかったという。彼は開発者とビジネスアナリストといっしょに仕事をしたいと思っていたので、うまくいくと単純に考えていた。

当初、いくつかの課題があった。たとえば、デイリースタンドアップは実際には効果的でなく、ふりかえりから出てくるアクションは多すぎたという。Schuurkes氏を含むチーム全員が一番注力していたのは、スクラムという儀式をできるだけうまくやることだった。チームで仕事をしているうちに、彼はアジャイルについて多くのことを学んだ。そして、新しいことにトライすることで、よりよい方法を見つけていったという。

アジャイルで仕事をはじめるとき、事前にアジャイルを経験しておく必要はない、とSchuurkes氏は語る。彼は基本的なことを理解しないままアジャイルをはじめて、その最終目標についても考えていなかった。振り返ってみて彼は気づいた。このようにやることで、自分自身に限界を課さずに済んだのだと。Schuurkes氏は「アジャイルをすぐにマスターする必要はありません、とりあえずはじめて、やっているうちにスキルを上達させればいいのです」と語った。

Schuurkes氏は現在、アジャイルは主として、より思いやるのある職場を作るためのものである、と考えている。そして、まだたくさんのことがアジャイルで見つかるだろうという。彼は新しいことを学び続けるように心がけており、学び続けているうちに考え方も変わることがわかっている。

Schuurkes氏は、安全に試せるなら絶好の機会など必要ない、という。とりあえず十分なことをすればよい。もっとたくさんやらなきゃいけない、もっとすばやくやらなきゃいけないと思うことで、自分自身に限界を課してはいけない。

講演のあと、InfoQはJoep Schuurkes氏をつかまえて話を聞いた。

InfoQ: European Testing Conferenceでの講演は「There’s More to You Than You Think.」というタイトルでしたね。なぜこのタイトルにしたのですか?


Joep Schuurkes: 私は1年ほど前にスクラムマスターになりました。ですから「純粋な」テストの話にはしたくなかったんです。そうして自分に問いかけました。私が熱意を持っているトピックは何だろうと。話せるのはそれしかないのですから。そのトピックにそれなりの熱意がなくてはなりません。私はExistential Comicsのすばらしいツイートを思い出しました。


  • 「大きくなったら、何になりたい?」
  • 「正直で、勇敢で、思いやりのある人」
  • 「いや、そうじゃなくて、私が言っているのは、自分の労働力をどう売りたいのかってことだよ」

私はこのツイートに共感しました。というのも、アジャイルの大部分は、みんなが職場で自分らしくいられるように、もっと人間らしい働き方を見つけることだと思っているためです。


プロポーザルを提出したあと、とてもすてきなことが起こりました。単に不採用か採用かではなく、European Testing Conferenceの人とプロポーザルに関する話し合いがあったのです。私の相手はMaaret氏でした。彼女は2つの方法で私自身と私のプロポーザルを試しました。彼女はまず、私の講演が、成長の話、人びとを力づける話になるのかたずねました。次に、それがアジャイルやテスト自動化など、現在のテスト課題に結びつくのかたずねました。


テスト課題と私の体験とを結びつけてみることで、私の講演のトピックである、自分が課した限界を取り除くことを思いつきました。そうして、このタイトルになったのです。時として、あなたを抑えているのは、あなた自身しかいません。そのことを理解し、それを打ち破ることで、自分が思っている以上のものを持っていることに気づくのです。

自分にはできないと思い込み、自分自身に限界を課すことで、詐欺師症候群(インポスターシンドローム、impostor syndrome)に苦しむおそれがある。InfoQでは以前、Gitte Klitgaard氏に詐欺師症候群への対処についてインタビューした。


詐欺師症候群というのは、「詐欺師」だとバレるのを恐れている人たちを指しています。彼らは、自分は本来いるべき場所にいない、自分は成し遂げた成功に値しない、他人が思っているほど自分は賢くない、と考えます。アジャイルコーチのGitte Klitgaard氏によると、多くの優秀な人たちが詐欺師症候群に苦しんでいるそうです。そのことが彼らの仕事を妨げ、夢を追いかけるのをやめさせます。

詐欺師症候群は人びとを不安にさせる。そうして、自分自身に限界を課し、新しいことにトライするのを恐れるようになる。限界を取り除く最初のステップは、まず自覚することだ、とKlitgaard氏は主張する。


(…) 詐欺師症候群だと自覚することで、詐欺師症候群と、そして自分自身とうまく付き合い、よりよい人生を手に入れ、自分に自信が持てるようになります。

InfoQ: テスト自動化についての話を聞かせてくれませんか?


Schuurkes: 私は数年前、銀行で働いていました。そこでは、一般的なリスクレポートを、カントリーリスクレポートならびに銀行リスクレポートと比較するテストをしていました。レポートはExcelで書かれており、そこには詳細なテスト手順も記載されていました。これらのフィルターを適用して合計をとり、また別のフィルターを適用して別の合計をとり、といった具合です。チームにいる別のテスターがテストの実行方法を私に説明してくれたのですが、そのときすぐに自動化しようと決心しました。テストを手作業でやるのは、心が麻痺するくらい退屈だったんです。


それが私にとって悪いアイデアだという理由はたくさんありました。まず、言語には当然ながらExcel用のVBAを使うのですが、私にはまったく経験がありませんでした。さらに悪いことに、私がこれまでに書いた一番複雑なコードは、100行足らずのPerlスクリプトでした。つまり、テストを自動化するのにどれくらい時間がかかるのか、私にはまったく見当もつかなかったのです。しかも、自動化することのメリットについて、時間をかけてよく考えていませんでした。私の頭の中にあったのは、テストを手作業でやることで自分が退屈するのを、なんとかして避けることだけでした。


ですから、これは私にとって、テスト自動化の経験を積むための絶好の機会とはほど遠いものでした。幸運なことに、私はそのことに気づかず、とにかくやってみました。そして成功したのです。私はなんとかテストを自動化できました。プロジェクトマネージャーが許せる時間の範囲内で。手作業よりも何倍も高速にテストを実行できるようになり、テストのカバレッジも高めることができました。


私は今でも感謝しています。もうテストを手作業でやらないと決心したことに、そして、テスト自動化を学ぶための絶好の機会でないことに気づかなかったことに。もしそれに気づいていたら、まったくトライしていなかったかもしれません。さもなくば、プロジェクトマネージャーに許可を求めていたでしょう。きっとプロジェクトマネージャーは、私の経験不足について、賢明かつ批判的な問いを投げかけたでしょう。そうしたら、どうなっていたかわかりません。


このことから学んだのは、絶好の機会を待つ必要はない、ということです。やらない理由は常にあります。私たちはそうした理由を、必要以上に深刻に受け取りすぎています。ことわざにあるように「虎穴に入らずんば虎子を得ず」なのです。

InfoQ: 不安を感じている人、やることを恐れている人に、何かアドバイスはありますか?




Schuurkes: 自分に問いかけてみてください。「これをやることで死ぬ可能性があるだろうか?」もし「いいえ」なら、どんどんやりましょう。もし「はい」なら、あなたの恐怖心が警告してくれたことに感謝して、引き下がりましょう(あるいは、だれもが直面する必要はないと願うような場合、とにかくやってみましょう)。


私はこの問いかけを2つのところから学びました。


ひとつは、日本の古い武術を練習しているときでした。平たく言うと、相手が2メートルもの硬い木刀でしきりに自分の頭を叩こうとする(正直に言うと、練習がそう感じるようにできているとき)のに比べたら、たいていのことは怖くなくなります。


もうひとつは、Jerry Weinberg氏を通して見つけたVirginia Satir氏の研究です。彼女によると、私たちはみな、生存のルールを持っています。生存のルールというのは、私たちが学んだこと(たとえば、立派なことが言えないなら何も言ってはいけない、など)に深く根付き、一番深くにあるアイデンティティの一部のように感じているもの、ひとつでも破ると死んでしまうように感じているもののことです。もちろん、こうしたルールには価値があり、これまで私たちを助けてきました。もしそうでなければ、私たちはルールを学んでいないでしょうし、ルールにしがみつくこともないでしょう。ところが、生存のルールが邪魔をすることもあるのです。そのときこそ、自分を見つめ直し、勇気を持って自分の生存のルールのひとつを破る必要があります。ひとつのやり方は、まず状況を説明してみることです。あなたがそれをよいルールだと思ったのは、あなたが今いる場所を手に入れるのに役立ってきたためです。しかし、それがよいルールではないときもある、とも思っています。そうした場合には、そのルールにしたがわなくても大丈夫だ、と受け入れるのです。


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