CBSニュースは、いかにデジタル変革を成し遂げたか? – DIGIDAY[日本版]

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ニューヨークのヘルズキッチン地区、ハドソン川から1ブロックほどの場所にあるCBSブロードキャストセンターは、「60ミニッツ(60 minutes)」や「CBSイブニングニュース(CBS Evening News)」など、長い歴史のあるニュース機関のお膝元だ。だが、この建物の2階部分では、デジタルの新しい取り組みがはじまっている。ケーブルニュースの繰り返しや陳腐なソーシャル関連のニュース動画の垂れ流しをやめて、常にホットなニュースを扱うブランドに生まれ変わろうとしているのだ。

2014年秋、CBSはオンラインで24時間ニュースを流し続ける「CBSN」というチャンネルをローンチした。これはスマートフォン、タブレットやインターネットに繋がったテレビなどから、すべてのコンテンツを無料で視聴できるものだ。CBSの関係筋によると、これはCBSインタラクティブ(CBS Interactive)とCBSニュース(CBS News)が共同で育てている「子孫」のようなものであり、「CBSディスモーニング(CBS This Morning)」や「フェイス・ザ・ネーション(Face the Nation)」、「60ミニッツ」や「CBSイブニングニュース」を含む、CBSの主要な生放送のニュース番組を毎日15時間以上放送している。

CBSNの運営規模は大きく、CBSニュースデジタル(CBS News Digital)やCBSインタラクティブからおよそ250人が関わっている。そこには編集、エンジニアリング、またそのほかの部門から配属された専任のスタッフや、CBSインタラクティブで製品やマーケティング、販売に携わる部門で「中心的な役割」を担う者も含まれる。

CBSNは発足してからおよそ3年だが、利益をあげている。CBSインタラクティブとCBSニュースデジタルのSVP(シニアバイスプレジデント)とGM(ジェネラルマネージャー)を務めるクリスティ・タンナー氏によると、CBSNはさらに前向きに、「成功例のいくつかに対して再投資する」ビジネスの計画があるという。これには、新しいコンテンツの制作やディストリビューションの協力関係の構築、またエディトリアル製品も含まれるが、これらはCBSの幅広いポートフォリオのなかから数多くの部門の連携が必要となることが多い。そしてこれは、CBSの上層部がCBSNを高く評価している証でもある。

新しい時代へ向かうCBSニュース

2014年のCBSNのローンチの際、CBSニュースのプレジデント、デビッド・ローズ氏は、「オンラインで新たにケーブルニュースのチャンネルをはじめようとしているわけではない」と、ニュースメディアの「ポリティコ(Politico)」のインタビューで語っている。これはCBSN発足以来の信念となっており、ブロードキャストやケーブルテレビのリニアなニュースに人々が慣れきってしまったことに対する反骨心ともいえる。たとえば、あるケーブルニュースの放送局が、エアフォースワン(Air Force One)がアンドルーズ空軍基地に着陸する様子を生放送していたそのとき、CBSNはニュースカンファレンスでミネアポリス警察署長がジャスティン・ラスチェック氏の射殺事件に関する会見を行なっている様子を生放送していた。また、CBSニュースデジタルのシニア・エグゼクティブプロデューサーであり、CBSニュースのデジタル部門が有するすべてのコンテンツの責任者であるナンシー・レーン氏は、CBSNでは専門性の高いニュースが取り上げられることは極めて少ない、と述べる。

「ケーブルニュースが何かを報道するたびに、いつも同じ人々がお互いの批判をはじめる」と、レーン氏は語る。「我々は、事実にもとづいたニュースの詳細を、新しい切り口で届けることを常に意識している」。

また、CBSNは、ブロードキャストやケーブルニュースの放送局があまり報道しない類の話題をCBSニュースが深く掘り下げて報道するための場所ともなっている。2016年には、CBSNは「CBSNオリジナル(CBSN Originals)」という番組をローンチし、トランプ大統領のラテン系の支持者のドキュメンタリー特集や、ネパールやアメリカで児童婚をなくそうとする動きを特集した番組の制作などを行なってきた。

「一般的な通念が評価材料となっているわけではない」と、タナー氏はいう。そして、「ほかの誰かがやっているようなドキュメンタリーと同じことをやらなければならないという状況には陥りたくないのだ」と、レーン氏が付け加える。

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世代交代の兆し

さまざまなプラットフォームや端末で視聴可能なストリーミングニュースのチャンネルを構築することで、CBSNはより若い世代のオーディエンスへのリーチにひと役買っている。

これは、既存のブロードキャストやケーブルニュースの視聴者の年齢が上がっているいま、特に重要なことだと、グローバルメディアマーケティング会社のマインドシェア(Mindshare)北米支部における国際放送部門プレジデント兼共同エグゼクティブディレクターを務めるジェーソン・モルトビー氏は語る。マーケティングリサーチ会社のニールセン(Nielsen)によると、FOXニュース(Fox News)やMSNBCテレビの視聴者の平均年齢は65歳であり、CNNのゴールデンタイムの視聴者層の平均年齢は59歳だという。

「そのほかのリニアプロダクトと同様に、CBSニュースも高齢化が進んでいる。ミレニアル世代を取り込むことができず、中長期的には維持が難しい事業案だ」と、モルトビー氏は語る。「CBSNでは、デジタルの世界での立ち位置や、さまざまなプラットフォームのあいだで、どのように関わっていくべきかを模索している」。

いまのところCBSNのアプローチは、うまくいっているように見える。平均年齢は38歳で、視聴者の80%は18歳から49歳。しかし、CBSNを「ミレニアル放送局」と呼ぶべきではない。

「私たちがミレニアル(世代に向けた)放送局になるために必死になっていると思って欲しくない」と、タナー氏。「世間一般の通念で考えれば、『オーディエンスをガラッと変えるために準備をはじめているならば、25歳の若者をたくさん雇うべきなのではないか』という考えが妥当なのかもしれない。しかし、私たちの読者は見識のある人に対して、反応を示しているということがわかっている」。

2016年、CBSNは前年比で232%増となる2億4000万回以上の生放送を行った。2017年もさらに成長を続けており、2016年の第2四半期との比較では38%増となっている。

「オーディエンスにサブスクリプションを通じた認証を求めず、さらに大多数のプラットフォームで利用できることが、多くのニュースパブリッシャーのあいだで一般化しているが、CBSNはそれを熟知しており、コードカッター(ケーブルテレビの契約を止めてネット経由での動画視聴を選択する視聴者)のエンゲージメントを促す機会を与えている」と、デジタスLBi(DigitasLBi)のメディア部門アソシエイトディレクター、ベス・ウィークス氏は語る。

渦中のCBSN

過去をさかのぼると、大規模な親会社のデジタルビジネスは「継子(ままこ)」として扱われることがほとんどだった。デジタルはデジタルでものごとを進める一方、親会社はより採算性の高いこれまでのビジネスに注力していた。CBSブロードキャストセンターの中枢部のコントロールルームは、CBSニュースのコントロールルームとスタジオセット、そしてオフィスと隣同士に並んでいた一方、CBSNはそうしたCBSの部門の土壌とは離れたところにあった。「CBSディスモーニング」の共同司会者、チャーリー・ローズとノラ・オドネルが揃ってスタジオをあとにし、別のセグメントにあるCBSNに向かうという姿を見るのは日常のことだ。

月曜日、CBSニュースは「CBSN:オン・アサインメント(CBSN: On Assignment)」という夏に向けた新しいシリーズ番組を、テレビとCBSN、そしてCBSオールアクセス(CBS All Access)の購読者向けのストリーミングで同時放映を開始。1時間に渡るそれぞれのエピソードでは、CBSNが制作する複数のドキュメンタリー形式のレポートにスポットが当てられる。

2017年2月時点で150万人の有料の定期購読者を有するCBSオールアクセスは、8月3日からはじまるCBSNのライブフィードを放送する。

舞台裏では、CBSNのプロダクトチームは競合相手でもあるCBSオールアクセスとしばしば協働しながら、トラブルシューティングやそのほかのプロダクト、そしてエンジニアリングに関わっている。あたかもプレイステーション向けのアプリを開発しているかのように、CBSNはオールアクセスのチームとさまざまなトラブルシューティングの案件を話し合っていると、タナー氏は語る。「ほかの会社では、1本の電話でここまですばやくAからBに動く、というようなことは不可能だ」。

対外的には、CBSNは主要なメディア会社の傘下であることの利点を最大限に活かしている。たとえば、CBSコーポレーションは最近、オンラインのテレビサービスでCBS所有のチャンネルを構築するべく、フーボTV(FuboTV)と契約を結んだ。この契約には、CBSNブランドのリニアチャンネルをフーボTV向けに制作することも含まれる。テレビのサービスがオンラインに移行し、CBSのネットワーク上でディストリビューションを模索するサービスが増えるにつれて、こうした分野が拡大することが予想されている。

Sahil Patel(原文 / 訳:Conyac
Images via CBSN




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