レゴ社が子ども向けSNSの制作から学んだこと – Campaign Japan

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レゴライフは、子どもたちがレゴの遊び方を考え、作品をシェアできる極めて安全な場としてレゴ社が提供する、子ども向けのソーシャルネットワークだ。

最近は1カ月に70万人の新規ユーザーを獲得し、これまでに300万のダウンロード数を記録するなど好評を博しているようだ。しかし、ウェブサミット(11月初旬にリスボンで開催)でインタビューに応じたレゴライフのシニアグローバルディレクター、ロバート・ロウ氏は、これまでの道のりを「興味深いものだった」と振り返る。

「アップルでローンチした時に、25の市場に展開しましたが、拡大を急ぎ過ぎたのだと思います。はじめは小さく展開し、検証を重ねながら大きく育てていくということに不慣れな企業が、未完成なデジタル商品を市場に出したのです」

レゴ社は完全主義を貫く企業で、一度市場に出した商品の完成度を継続的に高めていくという考え方は「未知の領域」なのだという。

「市場に出した時、子どもたちにとって使いやすいアプリではなく、ユーザー体験はアップデートが必要でした。でもアップルは気に入り、私たちも乗り気になって早々にローンチしたのです。当時、我が社は機敏な対応ができると自負していましたが、実際にはそうではなく、体裁を整えるのに2カ月を要したのです」

ロウ氏とそのチームは、レゴ社らしいリニア(直線的)なやり方が通用しないことを痛感する。

「そこで、クリエイティブ担当者を開発担当者と一緒にしました。デジタル開発の基本ともいえる単純なことですが、それがうまく機能したのです」

この時点でチームは2週間に一度のペースでアプリをアップデートできる体制になったが、アプリのマーケティングについては不明なことも多かった。

「テレビのCM枠を押さえることはできます。でも、CMが流れる時点でアプリがどこまで出来ているかが、CM納品の締切日になっても分からなかったのです」とロウ氏。「私たちは、App Storeでのマーケティングを試行錯誤を続けながら学ぶこととなりました。さまざまなアイコンや動画、テキストを試しながら、何がユーザーに好まれるのか把握していったのです」

真にデータ主導型となるにはどうすればよいかも、学ぶ必要があった。

「私たちは一部のデータのみに着目し、それがすべてを支配していました。一つの事実がすべての指標となって、開発を主導していたのです。でも、その方法は機能しません。データ主導型になるためには、途中で脱退してしまう子どもの数や、何が新規登録を後押ししているのかといった細かい事象に注目する必要があるのです」

そういう観点でデータを吟味するよう、チーム内のクリエイティブ担当者を導くことが必要だった。「彼らにとって不慣れな手法」ではあったが、解決すべき問題点をより明確に特定できることが分かり、うまく機能し始めたのだという。

チームにとってのもう一つの問題は、レゴライフが組織を横断する存在だという点だ。レゴライフには、デジタルによる顧客との関係構築を主とした、プロダクトマーケティングの開発という側面がある。だが一方で、それ自体がデジタル商品でもあるのだ。

「明らかにこれはマーケティングのプラットフォームです。しかし同時に商品でもあるので、その間に存在する社内の垣根を壊す必要がありました」

レゴ社内には縦割り意識が存在するのだという。「社内にはスターウォーズやニンジャゴー(レゴが開発したアニメ)に特化したチームがそれぞれ存在します。でも子どもたちは遊ぶときに、そんなことは意識しませんよね」

同様に、知的財産の所有者とも認識を共有する必要があった。

「スターウォーズとバットマンが一緒になったコンテンツを見たら、彼らは『絶対あり得ない!』と言うでしょう。ユーザーが発信したコンテンツだということは彼らも理解しています。でも子どもたちは遊ぶときに、スパイダーマンがどの漫画出版社に帰属するのかなんてまったく気にかけないということを、彼らに説明する必要があるのです」

それでもレゴ社がレゴライフのようなプロジェクトに取り組むことには利点があるとロウ氏は話す。「我が社は家族経営であり、利益を上げているので、長期的な戦略に取り組みやすいのです」

子どもたちがレゴライフを開く回数と、レゴで遊ぶ回数の間に相関関係があることを、ロウ氏のチームは見出した。その結果、レゴブロックの売り上げも上昇することになる。

「相関関係は存在し、レゴというブランドにとっての利点も間違いなく有ります。しかし、一時的に過剰な投資をしたとしても直接的な効果を直ちには求めないことが、長期的な成功のために必要だということも、当社は十分理解しています」

(文:エミリー・タン 翻訳:岡田藤郎 編集:田崎亮子)




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