創業100年目、社名から「造船」外し覚悟示す – ニュースイッチ – ニュースイッチ Newswitch

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 三井造船が創業以来、最大の組織改編に踏み切る。事業本部制を解消し、2018年4月1日付で純粋持ち株会社制に移行する。競合の総合重工各社が海から陸、空へと業容を拡大する中、造船を軸に事業ポートフォリオを描いてきた三井造船がついに動きだす。社長の田中孝雄は長年親しんだ「造船」の冠を社名から取ることを決断、不退転の覚悟を社内外に示した。17年は折しも創業100周年を迎える節目の年。田中は荒療治にも見える手法で、全社員に意識改革を促す。

 新社名「三井E&Sホールディングス」の由来を問われた田中は「短くて体を表す社名」と答える。「E」はエンジニアリング、「S」はシップビルディング(造船)の頭文字を取った。

 持ち株会社制への移行は、田中が経営企画の担当役員時代から温めてきた腹案だ。当時も「やろうとしたが時期尚早だった」と田中は振り返る。

 三井造船が造船を中核とする事業体制にもがく間、三菱重工業や川崎重工業、IHIは航空・宇宙分野まで事業領域を拡大。売上高7000億円規模にとどまる三井造船を横目に、3社で“兆円グループ”を形成する。

 国内で他社を圧倒する技術を誇る舶用ディーゼルエンジンや国内シェア8―9割を握る港湾用クレーンなど、競争力の高い事業を持つ三井造船。子会社の三井海洋開発は、浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)で世界的な企業に育った。

 にもかかわらず、成長軌道に乗り切れなかったのはなぜか―。答えを突き詰めて、たどり着いたのがそれぞれの事業部門が独り立ちする持ち株会社化だ。「護送船団方式で、他の事業に頼ってはいけない」。造船や化学プラントなどの不振を好調事業で補う現状に、田中はこうクギを刺す。

 「船舶・海洋」「機械・システム」「エンジニアリング」の3事業本部を分社し、シビアな独立採算制を志向する。「良い絵が描けないのに、事業を継続すべきか。もうそんな時代ではない」。田中は本音を漏らす。

 13年に降って湧いた川重との経営統合。曲折を経て白紙となったが、この時、社長に就いた田中は自前主義からの脱却を掲げた。M&A(合併・買収)や他社との協業など、外部資源を積極活用する戦略にかじを切った。

 その一例が15年に買収した独TGEマリンだ。環境規制で需要が伸びるガス船のエンジニアリングに強い同社を傘下に収め、造船事業は付加価値の高い設計やアフターサービスを拡大する。持続可能な成長に向け布石を次々と打ち「社会的課題に応える高収益企業への転換」を目指す。

 各事業の分社化で、身動きは格段に取りやすくなる。総合重工で初の純粋持ち株会社化に「三井さんは今回、本気で変わろうとしている」(総合重工幹部)と周囲はみる。他社との提携や事業統合も辞さない真の変革が始まる。

(敬称略)



                    

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