ケネディクス Research Memo(5):受託資産の拡大により足元業績は好調に推移 – まぐまぐニュース!

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■業績動向

  1. 業績を見るためのポイント
    一般の事業会社の売上高に当たるものが営業収益であり、保有物件を系列REITなどに売却することにより得られる売却収入が大部分を占めている。ただ、売却収入は売却するタイミングにより大きく増減する上、必ずしも利益の伸びと連動するものではないため、業績を見る指標としては適切とは言えない。本業(主に手数料収入で稼ぐ不動産ファンドビジネス)における業績指標としては、営業総利益に注目するのが妥当である。ただ、不動産投資事業における損益は、営業総利益として計上されるもののほかに、特別損益(有形固定資産の売却に伴う損益)として計上されるものがあるため、資金調達にかかる支払金利(営業外費用)も合わせて総合的に判断することが必要となる。したがって、総合的な収益力を示す最終損益(純利益)の動きも重要であることは言うまでもない。

なお、ケネディクスでは、アセットマネジメント事業と不動産関連事業の営業総利益を足し合わせたものから、販管費及び一般管理費を控除したものを「ベース利益」として重視しており、同社の安定的な収益力を示す指標となっている。また、不動産投資事業についても、関連する損益を合算した「不動産投資損益」を指標としている。したがって、大まかな捉え方をすれば、同社の最終損益(純利益)は、「ベース利益」と「不動産投資損益」によって構成されており、「ベース利益」は受託資産残高に連動して着実に積み上がる一方、「不動産投資損益」は自己勘定投資(約800億円程度)の10%を目標投資リターンとする運用の成果とみなすことができる。

  1. 収益体系
    (1) アセットマネジメント事業
    アセットマネジメント事業は4つの手数料が収益源となっている。特に、受託資産残高に対して毎期、安定的な収益が期待できるアセットマネジメントフィーが同社の収益基盤を支えている。

(2) 不動産関連事業
不動産関連事業は、不動産管理業務(プロパティマネジメント等)や不動産を利用した運営業務(サービスオフィス等)による手数料収入が収益源となっている。

(3) 不動産投資事業
自己勘定投資による賃貸事業損益や不動産売却損益のほか、匿名組合分配損益(自社運用するREIT投資口からの分配損益等)などが収益源となっている。特に、不動産売却損益は不動産市況の影響を直接受けやすいところに特徴がある。また、前述のとおり、不動産投資事業における損益は、営業総利益として計上されるもののほかに、特別損益として計上されるものがあるため、資金調達にかかる支払金利と合わせて総合的に判断する必要がある。

  1. 2017年12月期上期決算の概要
    2017年12月期第2四半期累計期間の業績は、営業収益が前年同期比4.6%増の13,509百万円、営業利益が同7.4%増の6,836百万円、経常利益が同15.3%減の6,128百万円、純利益が同16.2%減の5,941百万円であった。売却タイミングが下期寄りとなっていることから、「不動産投資損益」が前年同期比で減益となっているものの、通期業績予想に対する進捗率は総じて50%を超えており、ほぼ計画どおりの進捗と言える。また、受託資産残高も1兆8,184億円(前期末比6.8%増)と順調に拡大した。

事業別の営業総利益を見ると、アセットマネジメント事業(特に、アセットマネジメントフィー)が受託資産の拡大に伴って大きく伸びた。一方、不動産関連事業は先行費用※の発生があったことにより僅かに減益となったが想定の範囲内である。また、不動産投資事業も上期偏重であった前年同期に比べて匿名組合(非連結SPC)からの分配損益が減益となっているが、こちらも計画どおりの進捗である。

※サービスアパートメント事業に関する初期費用(家具の入れ替えなどを含む)。

なお、最終損益(純利益)が減益となっているが、その要因を「ベース利益」と「不動産投資損益」に分解して見てみると、同社が重視する「ベース利益」が受託資産の拡大に伴って前年同期比31.4%増の約31億円と大きく伸びた一方、「不動産投資損益」が同18.6%減の約40億円と出遅れたことに起因している。ただ、前述のとおり、「不動産投資損益」が減益となっているのは、売却タイミングが前年同期と比べて下期寄りとなっていることが理由であり、通期予想(最終損益)に対しては56.6%と順調に進捗している。

また、注目すべきは、着実に成長してきた安定的な手数料収益(AMフィーやPMフィーなど)により、販管費を賄える収益構造に変化してきたところである。

受託資産残高は、前述のとおり、1兆8,184億円(前期末比6.8%増)に順調に拡大した。特に、サブスポンサーリートの伸びが大きいのは、三井物産との協業による日本ロジスティクスファンド投資法人(物流施設)が伸びたことや、新たにマレーシアREITを受託※1したことに起因する。また、メインスポンサーリートについても、KRR(商業施設等)※2及びKPI(大型オフィス及びホテル等)※3が大きく伸びた。特に、KRRについては、新たに10物件を取得したが、同社からは開発事業を中心に3物件を供給している。一方、私募ファンドについてはわずかに縮小したが、下期には大型案件※4が予定されており、期末ベースでは大きく伸びる見通しである。

※1 後述するマレーシア向け投資案件に伴うもの。
※2 KRRは、ケネディクス商業リート投資法人の略(以下、同様)。
※3 KPIは、ケネディクス・プライベート投資法人の略(以下、同様)。
※4 横浜みなとみらい地区における三菱重工横浜ビル(新規コアファンド等の組成を予定)及びその隣接地(開発用地)への投資。

財務面では、連結対象不動産の残高(棚卸資産と固定資産の合算)が前期末比9.3%増の102,169百万円と積み上がったことから総資産が前期末比3.1%増の186,033百万円に拡大した一方、自己資本は自己株式の取得(約50億円)や配当金の支払い(約10億円)により前期末比0.8%減の86,927百万円とわずかに縮小したことから、自己資本比率は46.7%(前期末は48.6%)に若干低下した。有利子負債もノンリコースローン※の増加により前期末比7.4%増の81,699百万円に拡大している。ただ、財務の安全性は維持されており、資本効率性を重視した資本政策(株主還元策)は高く評価できる。

※返済の原資となる資産を投資物件等に限定した借入方法である。したがって、通常のコーポレートローンと比べて、財務の安全性を損なうリスクは小さいと言える。

  1. 2017年12月期上期における投資実績
    不動産投資事業における自己勘定投資については、自己資本の範囲内という方針のもと、約213億円(前年同期は約150億円)の新規投資を実行した。注目すべきは、大型案件(横浜みなとみらい地区)の獲得に向けた隣接地(開発用地)の取得(約74.4億円)のほか、KRR向けの商業施設(約31.6億円)や米国西海岸の賃貸住宅への投資(約38.5億円)などが挙げられる。一方、投資元本の回収についても、REIT向けのブリッジファンドやREIT投資証券(私募REIT)等から約191億円を回収しており、いわゆる「リサイクル投資」(※7)を繰り返しながら、投資先行状態が解消してきたと言える。

※回収資金の中から新規投資を行う資金循環により、投資元本を増やさない同社の投資方針

2017年6月末の投資金額総計(投資エクスポージャー)772億円の内訳を見ても、ブリッジファンドやREIT投資証券の比率が低下する一方、コアファンドや海外案件などが大きく伸びている。また、2017年12月期の通期ベースでは、約490億円の新規投資(回収が約430億円)を予定しており、引き続き、成長市場への重点投資を積極的に行う方針である。

  1. 上期業績の総括
    以上から、上期業績は総じて好調に推移したものと総括できる。特に、受託資産の拡大と、それに伴う「ベース利益」の大幅な伸びは、「ケネディクスモデル」が順調に稼働しているものと言えるだろう。また、今後の受託資産拡大に向けても、大型案件の獲得や物件供給パイプラインの積み上げなどで一定の成果があった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)




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