シェアードサービスとは何か?BPOと何が違うのか 業務委託前にチェックすべきポイント – ビジネス+IT

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コア事業に注力するためにはシェアードサービスやBPOなど業務を委託する必要がある。

(© ar130405 – Fotolia)




シェアードサービスとは?BPOとは?何が違うのか

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 シェアードサービスとは、間接部門の「サービス」を「シェア(共有)」することで経営のスリム化を図る経営手法のこと。グループ企業や企業内の事業部ごとに存在する人事部、総務部、法務部、データセンターなどのコーポレート機能を1か所(シェアードサービスセンター)に集約・標準化することで、コスト削減や業務効率化、品質向上を目的としている。なお、シェアードサービスセンターは、グループ内に独立した法人として持つケースと、持たないケースがある。

 シェアードサービスの対象となる間接部門としては主に、財務・経理、総務・人事、情報システム、物流、法務、監査などがあり、それぞれ以下のような業務を委託することが多い。

財務・経理部門 一般会計、決算、財務など

総務・人事部門
備品・消耗品の管理、給与計算、社会保険など

情報システム部門
ヘルプデスク、システムの運用・保守業務、受発注の処理業務

営業事務
受発注管理、顧客情報の管理

 また同じくコスト削減、業務の効率化という視点からこのシェアードサービスと一緒に語られるのが、BPOだ。Business Process Outsourcingの略称で、企業のある部門を丸ごと外部の企業(アウトソーサー)に移管あるいは売却して、サービスを継続する経営手法を指す。

 現在は多種多様なアウトソーサーが存在するため、その業務内容も幅広く、法務・情報システム、人事などの間接業務から、物流・開発・マーケティングなど直接業務まで及ぶ。

 このBPOとシェアードサービスとの大きな違いは、サービスの委託先の違いだ。委託先がグループ会社の場合はシェアードサービス、外部の委託業者の場合はBPOと呼ぶ。

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2つの原因により成立するアウトソーシングとシェアードサービス

(出典:『シェアードサービス、アウトソーシングの新しい潮流』(KPMGジャパン)

 後述するが、それぞれメリットとデメリットがあり、比較検討する必要がある。また、両社の良い面を合わせたハイブリッド型モデルを取り入れる企業も近年は多い。

シェアードサービスの起源

 経営手法としてのシェアードサービスの起源は新しく、米国のGE(ゼネラル・エレクトリック)社が導入したケースが最初だといわれている。各部門にあった伝票処理などの経理業務を1つの部門に集約し、各部門における業務簡素化を実現する目的で実施されたのが始まりだったのだ。

 その後、ERP (Enterprise Resource Planning 企業資源計画)が米国の大企業などで導入されたことにより、シェアードサービスの活用は拡大した。

 日本では、1997年の純粋持株会社解禁以降に法整備が進んでグループ経営が推進されるようになってから、多くの企業が積極的に導入している。バブル崩壊後の不況や情報技術の発展を背景に、業務の集約化や標準化を図り、コスト削減などを実現する目的でシェアードサービスが活用される例が増えた。

アウトソーシングの市場規模

 シェアードサービスセンターの市場規模は、矢野経済研究所の調査によると、2011年度で3,300億円。前年度比1.2%減で、2007年度から5年連続で縮小傾向にある。

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シェアードサービスセンター市場規模推移

(出典:『シェアードサービスセンターに関する調査結果2012』(矢野経済研究所))

 その理由として、親会社主導で展開されるシェアードサービスは、グループ企業が厳しいコスト削減策を実施しているためにグループ内受注が縮小する方向にあると矢野経済研究所は分析している。そのため、グループ外企業に向けたサービス提供で売上を確保したり、グループ内であっても付加価値サービスを提供することによる単価下落抑制を目指したりと、単なる「間接業務集約化」にとどまらない収益拡大の手法を模索している状況だという。

 一方、IDC Japanの国内BPOサービス市場調査と予測によると、2016年の国内BPOサービス市場は前年比4.9%増の7,017億円となり、2021年には市場規模8,427億円と堅調な予測が展開されている。

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国内ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス市場 支出額予測、2016年〜2021年

(出典:『IDC Japan プレスリリース』IDC Japan)

シェアードサービス/BPOのメリット

 それではシェアードサービス・BPOを導入することで、企業にはどのようなメリットがあるのだろうか。

 まずシェアードサービスについては、第1に目的でもある「コスト削減」が挙げられる。グループ内の間接部門をひとつに集約することで、スケールメリットにより人件費や設備のコストが大幅に抑えることが可能になる。

 第2に、品質改善につながる。シェアードサービスセンターに間接部門の機能を集約することで、その内部で学習および最適化が進み、業務品質改善が期待される。

 第3に、BPOとの比較で業務親和性の高さが挙げられる。委託先がグループ内となるため業務親和性がより高く、比較的、従業員の心理的抵抗が抑えられるというメリットもある。

 一方でBPOのメリットは、第1にシェアードサービスと同様、コスト削減が可能となる。委託業務に携わる人員を削減できることはもちろんのこと、それに伴うオフィスやシステムの維持費も不要だ。

 第2に、業務の品質向上や素早い変化への対応ができる。ベンダーは受託する部門においてはエキスパートであり、かつシェアードオフィスと異なり市場競争の中にある。自社にはない専門的なスキルとノウハウによって、高いクオリティでの業務遂行が期待できる。市場の変化にも柔軟かつ迅速に対応するだろう。

シェアードサービス/BPOのデメリット

 このようなメリットがある一方で、シェアードサービス/BPOにはデメリットも存在する。それぞれ見ていこう。

 シェアードサービスのデメリットとしては、初期投資として長期的な時間と多大なコストが必要となる。各社で個別に設定されている間接業務や管理ルールを短期間で統合させるのは困難である。また、ルールに紐づいて導入されているシステムの統合も課題となる。このコストは、導入時の大きな障壁となりうる。加えてシェアードサービスには市場原理が働かないため、運用しているうちに高コスト体制になってしまう恐れもある。

 次に、移管対象となる間接部門の従業員のモチベーション低下が起こりやすい。シェアードサービスセンターの従業員は単調業務が多く、さらにキャリアパスも描きにくいため、優秀な人材が流出しやすいといえる。

 最後に、グローバル化への対応が困難である。日本の本社が主導して統合したルールやシステムが海外拠点で適用できないケースもあり、各拠点あるいは各社で間接業務を行うこととなる。結果的にシェアードサービスの目的であるコスト削減を実現できない。

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シェアードサービス推進を困難にした課題

(出典:『日本型シェアードサービスの再生と進化』(アビームコンサルティング))

 一方で、BPOのデメリットは、まず専門性の高い業務の知識や経験を、自社内で蓄積できないことが挙げられる。社内にノウハウが蓄積できていなければ、万が一ベンダーが事業撤退となったようなときに、社内機能がストップするリスクが生じることになる。また業務の進行プロセスが把握できないため、ガバナンスが弱体化することも考えられる。

 第2に、機密情報漏えいのリスクが生まれる。ベンダーの多様化により、その業務範囲には、個人情報を扱う人事関連や情報システムが含まれるようになる。BPOを導入すれば、こうした機密情報が漏えいするリスクは少なからず存在するといえるだろう。

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