「自動再生」が廃れた時代に備える、パブリッシャーの苦悩:「いまは犯した間違いを修正しているところ」 – DIGIDAY[日本版]

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ユーザー体験より広告収益を優先させて、動画の自動再生を利用してきたパブリッシャーだが、方針転換を迫られそうだ。Google ChromeやAppleのSafariなどの主要ブラウザは、音声付き自動再生動画をブロックする対策に乗り出している。この対応により、パブリッシャーはユーザーが自らクリックして見たいと思うような動画を投稿していかないといけなくなる。

パブリッシャー側は、こうした対応について以前から進めており、Googleなどのブラウザ側の対策に応じたものではないと主張することだろう。だが、多くのパブリッシャーが自動再生の利用について慎重になっているのは間違いない。

パブリッシャーの対応

タイム社(Time Inc.)はここ1年で、働く女性向けのライフスタイル誌「リアルシンプル(Real Simple)」や旅行雑誌「トラベル+レジャー(Travel+Leisure)」などを含め、自社サイト上の動画に再生ボタンのアイコンや「watch」の文字を入れて、クリック再生であることを明示するようになった。また、クリック再生動画に加えてGIFの使用もテストしていて、クリックする前に動画の一部をプレビューできる機能の導入を検討している。

「ユーザーが求めてるだけでなく、広告主もこうした取り組みを求めている」と、タイム社のデジタル担当シニアバイスプレジデントを務めるパティ・ハーシュ氏は話す。「ユーザーを疎外したくない。モバイルシフトのなかで、ユーザー体験を最適化することは我々がもっとも優先すべきことだ」。

ワシントンポスト(The Washington Post)は、広告主の広告をさまざまなスクリーンやフォーマット(動画広告の音声や字幕のオンオフなど)に最適化できる専門のチームを設けているという。同社のコマーシャル・イノベーション担当バイスプレジデントを務めるジャロッド・ディッカー氏によると、このチームでは、広告とユーザー体験の適切なバランスを探りながら、音声なしの字幕付き自動再生にするのか、静止画にするのか、あるいはテキストにするかなど広告に応じて決めているという。

「自動再生はユーザー体験を悪化させるものであることは、誰もが気付きつつある」と、ディッカー氏は言う。「ユーザーの大半がモバイルデバイスを使用していて、音声を切っている状態で、音声付き自動再生はユーザーの邪魔にしかならない。音声なし・クローズドキャプション付きの自動再生にするのはきわめて効果的だ。多くのブランドがこの方式を利用するのは、ユーザー体験が優れているからだ。サイトになじむし、ユーザーにとってもうるさくない」。

Google Chromeでは、音声オフ、もしくはユーザーがメディアに関心を示している(これは、そのサイト上で頻繁に動画を閲覧しているなどの行動をもとに判断される)場合に限り、自動再生を許可すると表明している。

広告主のリアクション

だが、音声の有無にかかわらず、広告市場での自動再生の人気は凋落しつつある。

広告主は現在、ユーザーが自発的に視聴する動画に対し、自動再生動画の2~3倍の広告料を支払っており、前者のフィルレート(広告枠の充填率)は後者の2倍にのぼると、JWプレーヤー(JW Player)の共同創業者ブライアン・リフキン氏は語る。

「『自発的な再生』は2018年のキーワードになる」とリフキン氏。「そこに広告需要がある。音声オフの自動再生も利用されるだろうが、よりユーザーの自発的な再生に関心と成長は移っていくだろう。クリック動画の再生率も増え続けるだろう。パブリッシャーはこのことを理解しつつあり、トレーディングデスクたちは『これこそ望んでいたものだ』と満足げだ」。

広告主はGoogleの音声付き自動再生への対策を歓迎するだろうと、ホライズン・メディア(Horizon Media)のデジタル投資担当バイスプレジデントであるアレックス・ストーン氏は話す。なぜなら、ユーザーに視聴する意思があるか測れるからだ。いずれはこの変化が広告料にも反映され、たとえばユーザーが音声オンのまま最後まで動画を視聴したら、エージェンシーはその動画に対してより多く支払うようになるだろうという。

「我々は犯した間違いを修正しているところだ。デジタルの世界では、PDCAサイクルが速い。活気ある環境で新たな試みに挑むこともあれば、そのなかで失われてしまったユーザー体験を取り戻すために挑戦することもある」。

動画制作のプレッシャー

ただ、この変化によって、パブリッシャーへのハードルは高まる。高品質でストーリーに合致した動画をつくることに、ますますプレッシャーがかかるからだ。動画が自動再生の設定になっている場合は、クリック再生に戻るようにしなければならない。また、ユーザーに自発的に再生してもらうには、クリックしたくなるようなインパクトのあるサムネイル画像が必要だ。

たとえば、いまはトランプ大統領の大統領令への署名に関する記事に関して、その署名シーンの動画がなければ、大統領が何か別のことをしている数日前の動画を使われている。「パブリッシャーは、そうやってサイト上の動画を増やしている。しかし、すべての動画がクリック再生になれば、動画が記事と何の関係もないことは明白になるだろう」と、動画ベンダーのブライトコーブ(Brightcove)でバイスプレジデントを務めるマイク・グリーン氏は指摘する。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)




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